抗アレルギー成分を含有した低カフェイン'べにふうき'緑茶

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要約

'べにふうき'生葉を熱水浸漬すると、カフェインは半減するが、抗アレルギー成分であるエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(メチル化カテキン)、ストリクチニン含量は減少しない。また、メチル化カテキンは2番茶以降の緑茶、包種茶に多く含まれる。

  • キーワード:抗アレルギー成分、エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート、メチル化カテキン、ストリクチニン、'べにふうき'、低カフェイン
  • 担当:野菜茶研・機能解析部・茶機能解析研究室
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

社会問題化しているアレルギー疾患に対して、食品中からの抗アレルギー物質の探索が強く求められている現状にある。そこで、茶葉中から見出された抗アレルギー成分であるエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(メチル化カテキン)、ストリクチニンを機能性飲食品素材として有効利用するため、苦味があり、カフェイン半減期の長い乳幼児等で副作用が問題となるカフェインを低減化するための'べにふうき'茶葉の処理方法を確立する。

成果の内容・特徴

  • 'べにふうき'生葉を熱水浸漬し脱水後、従来の煎茶製造法にて製造した茶は、カフェインだけが減少し、抗アレルギー成分であるメチル化カテキン及びストリクチニンの減少はなく(図1)、旨味成分であるグルタミン酸は0.2%で変動せず、テアニンもほとんど減少しない(図1)。
  • 外観からは90°C,60秒、もしくは85°C,90秒熱水浸漬して製造した茶を用いるのが良い。
  • 'べにふうき'茶葉でのメチル化カテキン含量は一番茶で最も低く、二番茶以降増大し、主要カテキンであるエピガロカテキンガレート(EGCG)含量の変動と逆になる(図2)。
  • 'べにふうき'茶葉で緑茶、包種茶(弱発酵茶)、紅茶を製造した場合、メチル化カテキン含量は紅茶(強発酵処理)で消失する(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 熱水浸漬した後の茶葉の処理が早ければ早いほど製品の品質が向上する。
  • 二番茶でも同様の結果が得られており、メチル化カテキンに関しては二番茶以降に含量が増加するため、このようにして製造した茶は、抗アレルギー成分含量の多い機能性素材として利用可能である。

具体的データ

図1 一番茶期'べにふうき'温水浸漬条件による各成分含量の変動

図2 'べにふうき'中メチル化カテキン含量の 茶期別変動

図3.'べにふうき'中メチル化カテキン 含量の茶種による変化

その他

  • 研究課題名:茶葉中抗アレルギー成分の利用技術の開発(アレルギー予防効果を持った茶飲料の開発)
  • 予算区分:生研機構地域コンソーシアム、交付金
  • 研究期間:2001 2005年度
  • 研究担当者:山本(前田)万里、永井寛、浅井和美、森脇佐和子
  • 発表論文等:1)山本・永井:特願2003-18018
    2)山本(前田)ら (2001) 食科工 48(1): 64-68.