キャベツの生育の揃いを向上させるための定植条件
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要約
キャベツの定植において、株間のばらつきを抑え、畝中央部に直立に植えることで、生育の揃いが良くなる。高温期には、夕刻に定植することで生育が良く揃い、日中の定植が避けられない場合は、速やかなかん水が望ましい。
背景・ねらい
キャベツの機械化一斉収穫のためには、生育の揃いを高めることが重要である。育苗技術の開発により苗の揃いは向上しているが、玉揃いには結びついておらず、定植時の諸条件が収穫まで大きく影響を及ぼしていることが十分予想される。
そこで、植え付け精度や、定植時刻、定植時のかん水方法について、生育の揃いを良くするための条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
- キャベツでは定植時の株間を34cmより広く取ることで生育の揃いは良くなるが、34cm株間では初夏どりに比べ年内どりで揃いが悪くなりやすい(図1)。
- 株間のばらつきが小さいほど玉揃いは良くなるが、変動係数(ばらつきの指標)で10%程度以下ではその差は小さい(図1)。育苗・機械定植方法では、セル苗を用いた全自動機械定植で株間の変動係数が5~6%に抑えられ、11~20%の地床苗半自動移植より株間の揃いが良い(表1)。
- 植付姿勢では直立植で結球重が最も高く、変動係数も13%と揃いも良いが、傾斜して植えたり、直立植でも千鳥植をすると、生育が進むにつれて、株が畝間に倒れ込んでいくため、揃いだけでなく、収量も約20~30%低下する(図2-a、図2-b)。
- 高温期の定植では夕刻(16:00)の定植が、もっとも生育量が高く、生育のばらつきも小さい。日中(13:00)の定植では生育量、揃いとも著しく低下するが、定植後、速やかに(30分後)かん水することで、生育量、揃いとも高まる(図3)。
成果の活用面・留意点
- キャベツの移植栽培体系全般に適用できるが、特に機械化一貫栽培体系について重要な情報である。
- 本成果は品種‘松波’(石井育種場)の結果である。
具体的データ





その他
- 研究課題名:キャベツの生育斉一化のための重点管理項目の抽出と生育モデルの開発
- 予算区分:軽労化
- 研究期間:2000~2002年度
- 研究担当者:生駒泰基、村上健二、岡田邦彦、藤原隆広、佐藤文生、吉岡宏