トマトツメナシコハリダニによるトマトサビダニの密度抑制
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要約
トマトツメナシコハリダニをトマトの株に少数放飼することにより、株全体のトマトサビダニの密度を被害の出ない程度に抑制することができ、本種は有力な生物的防除素材である。
- キーワード:トマトツメナシコハリダニ、トマトサビダニ、トマト、生物防除
- 担当:野菜茶研・果菜研究部・虫害研究室
- 連絡先:電話059-268-4644、電子メールtpest@affrc.go.jp
- 区分:野菜茶業・野菜生産環境
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、殺虫剤の使用量を抑制したトマト施設を中心にトマトサビダニの発生が増加している。本種のトマトでの増殖は急速で、加害株は枯死にいたる。そこで、本種の総合的管理法確立のため、新たに見いだした天敵トマトツメナシコハリダニによるトマトサビダニの密度抑制効果を解明する。
成果の内容・特徴
- トマトサビダニの増殖したトマトに、トマトツメナシコハリダニを株あたり10頭放飼すると、放飼時のトマトサビダニが低密度(株当たり約200頭)でも高密度(株当たり約14,000頭)でも放飼4~5週間後からトマトサビダニの密度が減少し始め、その後は急速に減少する(図1)。
- 無放飼区ではトマトサビダニが株当たり10万頭を越えて、多くの葉が褐変・枯死するが、天敵放飼区では褐変・枯死する葉は極めて少なく、トマトサビダニを実質的な被害がでない程度に抑制する。
- 放飼されたトマトツメナシコハリダニはトマトサビダニの株内移動に伴って、トマトサビダニの密度の高い葉位に移動し、株全体のトマトサビダニの密度を抑制する。
- トマトツメナシコハリダニはトマトサビダニの有力な生物的防除素材である。
成果の活用面・留意点
- トマトサビダニの総合的管理法の開発に有効である。
- トマトツメナシコハリダニは、平成15年4月現在、農薬取締法に基づく登録がされていないので、試験研究以外には使用できない。
具体的データ


その他
- 研究課題名:トマトサビダニの生物的防除技術の実証
- 予算区分:IPM
- 研究期間:2002~2003年度
- 研究担当者:河合 章・太田 泉