酸素および水蒸気バリア性の高いプラスチックフィルムによる茶の品質保持

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要約

透明茶袋用資材として、PETフィルムにアルミナを物理蒸着した極めてガスバリア性の高いフィルムが適している。このフィルムで窒素置換して15℃以下で保存すれば、3ヶ月間は現行のアルミラミネート茶袋と同程度の品質を保つことができる。

  • キーワード:透明茶袋、ハイバリア性フィルム、セラミックス蒸着フィルム、品質保持
  • 担当:野菜茶研・機能解析部・茶機能解析研究室
  • 連絡先:電話059-268-4633、電子メールktsuji@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

緑茶の流通保存に適した包装資材は、アルミ箔を基材とした不透明なものであるが、中身を見て商品を選択したいという消費者の要望がある。このニーズに応えるためには、品質変化の少ない透明茶袋の開発が必要である。そこで、茶葉に光を照射したときの照射条件と品質変化の関係を調査し、この結果をもとに透明包装資材を選択して、包装方法、光強度、温度および貯蔵期間と茶の品質との関係を調べ、現行のアルミラミネート茶袋と代替えの可能な透明茶袋の開発に役立てる。

成果の内容・特徴

  • 茶葉に直接光を照射した場合、品質変化を少なくするためには雰囲気の酸素濃度は2%では不充分であり0.1%以下に保つ必要がある。温度は低い方が品質変化は少ない(表1)。
  • PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムにアルミナを物理蒸着した極めてガスバリア性の高い透明フィルムで茶袋を作成し、仕上げ茶を充填して完全に窒素置換包装すれば、店頭と同じ光条件で、25℃で1カ月間、15℃以下では少なくとも3ヶ月間は現行のアルミラミネート茶袋と同程度の品質を保つことができる。
  • このとき、透明包装資材に要求されるガスバリア性の条件としては、酸素透過度が0.3(cc/m2/24hr/atm)、水蒸気透過度が0.2(g/m2/24hr/atm)以下である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 品質劣化に関しては、酸素バリア性より水蒸気バリア性の影響の方が大きい。
  • 長期間(3カ月以上)使用する場合は、酸素除去剤および水蒸気除去剤の併用が茶の品質保持に有効と考えられる。
  • 試験に使用した仕上げ茶の水分含量は4.6%である。水分含量がさらに低い場合、品質保持期間が延長できることが考えられる。

具体的データ

表1 . 光照射中の雰囲気条件と茶の品質の関係

 

表2 . 長期光照射試験結果

その他

  • 研究課題名:透明包装資材の利用による茶の品質変化
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1999~2001年度
  • 研究担当者:辻 顕光