トマトサビダニのトマト属植物における寄生性および被害の差異

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要約

トマト栽培種の品種間でトマトサビダニの寄生数および被害の発生に有意な差がある。近縁種にはトマト栽培種と比較して寄生数が少なく被害程度が低いものが多く、トマトサビダニがほとんど寄生できないものもある。

  • キーワード:トマトサビダニ、トマト属植物、種間差異、寄生性、被害
  • 担当:野菜茶研・果菜研究部・虫害研究室
  • 連絡先:電話059-268-4644、電子メールkitamura.t@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・野菜生産環境
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

トマトサビダニは、近年被害が増加しているトマトの重要害虫である。本害虫は、体長が約0.2mmと微少なため発生初期での確認が難しく、多発生になるまで気付かないことが多い。多発生したトマトは、生育不良となり、下位葉から枯れあがり株全体が枯死することもある。このため、抵抗性品種の開発が望まれている。そこで,トマト品種間及びその近縁種間におけるトマトサビダニの寄生性及び被害発現の差異を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • トマト属植物におけるトマトサビダニの寄生数は各複葉の第1小葉を調査し、1小葉当たりの寄生数で表す。被害程度は株ごとに各複葉の被害程度を表1に示す被害度により評価し、次式により算出する被害度指数で表す。
    被害度指数=各複葉の被害度の平均/3×100
  • トマト栽培種の品種間で、寄生数及び被害度指数に有意な差がある。寄生数は特にジュピリが多く、イエローピコが少ない(図1)。また、被害度指数はジュピリ、ポンテローザが高く、Hawaii 7996、イエローピコが低い(図2)。
  • トマト近縁種には、トマト栽培種と比較して寄生数が少なく、被害度指数が低いものが多い(図1、2)。特にL. hirsutumのPI127827及びL. pennelliiの82000Fにはトマトサビダニはほとんど寄生出来ない。

成果の活用面・留意点

トマトサビダニのトマト属植物に対する寄生性、被害発現の差の要因は明らかにされていない。

具体的データ

表1.トマトサビダニによる被害度

図1.トマト属植物におけるトマトサビダニの寄生数

図2.トマト属植物におけるトマトサビダニによる被害度指数

その他

  • 研究課題名:トマトサビダニに抵抗性を有するトマト属植物の探索と抵抗性機構の解明
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2002年度
  • 研究担当者:北村登史雄、河合章