日本に分布するシルバーリーフコナジラミはTYLCVを経卵伝染しない

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要約

日本各地から採集したシルバーリーフコナジラミ3系統とTYLCV2系統のいずれの組み合わせでも、シルバーリーフコナジラミはTYLCVを経卵伝染しない。

  • キーワード:シルバーリーフコナジラミ、トマト黄化葉巻病、TYLCV、経卵伝染、日本
  • 担当:野菜茶研・果菜研究部・虫害研究室
  • 連絡先:電話059-268-4644、電子メールkitamura.t@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・野菜生産環境
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

トマト黄化葉巻病はTYLCV(tomato yellow leaf curl virus)によって引き起こされるトマトの重要病害である。本病が発生したトマトは、株が萎縮し、正常な果実生産が出来なくなるため、適切な防除法の確立が強く求められている。本病は、シルバーリーフコナジラミによって媒介され、近年イスラエルにおいて経卵伝染が起こることが報告された。そこで日本に分布しているシルバーリーフコナジラミとTYLCVの組み合わせでの経卵伝染の有無を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 千葉県から採集したシルバーリーフコナジラミは、イスラエル系統(Is系統)に相同性が高い長崎系統及び佐賀系統、イスラエルマイルド系統(Is-m系統)に相同性が高い静岡系統のTYLCVを経卵伝染しない(表1)。
  • 佐賀県から採集したシルバーリーフコナジラミは、佐賀系統及び静岡系統のTYLCVを経卵伝染しない(表2)。
  • 三重県から採集したシルバーリーフコナジラミは、長崎系統及び静岡系統のTYLCVを経卵伝染しない(表3)
  • 日本に分布しているシルバーリーフコナジラミは、日本に分布しているTYLCVを経卵伝染しない。

成果の活用面・留意点

  • 日本に分布しているシルバーリーフコナジラミは、TYLCVを経卵伝染しないが、一度TYLCVを獲得したシルバーリーフコナジラミ成虫は、強い伝播能力を持つのでTYLCVの発生を抑制するためにはシルバーリーフコナジラミを十分に防除する必要がある。
  • .経卵伝染の確認に用いた方法はイスラエルでのコナジラミによるTYLCVの経卵伝染の報告に準じたものである。

具体的データ

表1.千葉県から採取したシルバーリーフコナジラミによるTYLCVの経卵伝染

表2.佐賀県から採取したシルバーリーフコナジラミによるTYLCVの経卵伝染

表3.三重県から採取したシルバーリーフコナジラミによるTYLCVの経卵伝染

その他

  • 研究課題名:トマト黄化葉巻病の防除に関する研究
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2000~2002年度
  • 研究担当者:北村登史雄、河合章、善正二郎(佐賀県上場営農センター)
  • 発表論文等:1)善ら(2001)九病虫研会報47:25-28