アミノ酸含量と窒素吸収を指標としたチャの少肥適性品種の検定
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要約
挿し木床苗の枝のアミノ酸含量及び木部樹液中のアミノ酸濃度は‘あさのか’が‘やぶきた’より高い。また、幼茶樹の窒素吸収利用率は‘おくゆたか、めいりょく、さやまかおり、ふうしゅん、あさのか’が‘やぶきた’より高い。
- キーワード:少肥適性品種、アミノ酸含量、木部樹液、窒素吸収利用率
- 担当:野菜茶研・茶業研究部・育種研究室、上席研究官、育種素材開発チーム
- 連絡先:電話0547-45-4651、電子メールsabate@affrc.go.jp
- 区分:野菜茶業・茶業
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
茶の栽培では高収量・高品質を期待して窒素肥料を多く施してきたが、そのことが河川の硝酸性窒素濃度を高めるなど環境に負荷を与えており、早急に窒素肥料の施用量を減らすことが求められている。現在、削減技術の開発と普及が進められているが、さらに安定した削減技術とするためには、窒素肥料の施用量が少なくても生育が良く収量や品質の低下が少ない少肥適性品種を開発する必要がある。そこで、アミノ酸含量と窒素吸収を中心としてチャの少肥適性品種の検定を行う。
成果の内容・特徴
- 挿し木床苗中のアミノ酸含量は、生育の停止した冬季に調査する。その含量は‘あさのか’で多く、‘やえほ、あさつゆ’は少ない。なお、その差は枝で顕著に現れる(図1)。
- 挿し木床苗を地上2~3cmで切除し、シリンジで負圧をかけて木部樹液を採取する。樹液の採取は、土壌が十分湿潤な状態(pFが2.3以下)で行うのがよい。‘あさのか’の木部樹液中のアミノ酸濃度は、‘やぶきた’よりやや高く、‘あさつゆ’は低い(図2)。
- 3~5年生茶樹の一番茶新芽に含まれるアミノ酸含量は、‘こまかげ、青心大パン’が‘やぶきた’より多い(図3)。
- 1年生茶樹の窒素吸収利用率は‘おくゆたか、めいりょく、さやまかおり、ふうしゅん、あさのか’が‘やぶきた’より高い(図4)。
- アミノ酸含量及び窒素吸収利用率から、少肥適性品種として利用できる可能性があるのは‘おくゆたか、めいりょく、さやまかおり、ふうしゅん、あさのか’である。
成果の活用面・留意点
- 少肥適性品種の選定やその育種素材の選抜に利用できる。
- 切除した直後の木部樹液は測定に用いない。
具体的データ




その他
- 研究課題名:チャ少肥適性品種・系統の評価法の開発-呈味成分
チャ少肥適性品種・系統の評価法の開発-系統検索・育成
- 予算区分:交付金(所特定)
- 研究期間:2001~2002年度
- 研究担当者:佐波哲次、阿南豊正、根角厚司、武田善行