ウーロン茶浸出液表面に浮遊する油膜様物質
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要約
ウーロン茶を、特に硬水で煮出したまま放置すると、浸出液表面が油膜様物質に覆われる場合がある。この物質は、茶葉中のポリフェノールと水に含まれるカルシウムの共存下で、高温に保温される場合に生成されやすい。
- キーワード:油膜様物質、カルシウム、ウーロン茶、硬水、異物
- 担当:野菜茶研・機能解析部・茶品質化学研究室
- 連絡先:電話0547-45-4982、電子メールhorie@affrc.go.jp
- 区分:野菜茶業・茶業
- 分類:行政・参考
背景・ねらい
ウーロン茶の浸出液表面に油膜様物質が浮き、異物の混入ではないかという消費者からの苦情がしばしば寄せられる。ところが、同じ茶葉を用いてもこの油膜様物質が再現できない場合が多い。そこで、油膜様物質の生成条件を解明し、消費者の安心確保に資する。
成果の内容・特徴
- ウーロン茶を硬水で煮沸抽出し、80℃程度で保温すると油膜様物質は多量に生成される。硬水で煮沸抽出した場合でも直ちに水冷したり、30℃で抽出しその温度のまま保温する場合には、油膜様物質は生成が抑制されるか、生成しても少量である。一方、同じ条件でも蒸留水を用いた場合、油膜様物質は全く生成されない(表1)。
- 油膜様物質の生成には、茶ポリフェノールとカルシウム塩が存在し、弱アルカリ性条件下で、高温に保温することが必要である。炭酸塩は必須ではない(表2)。
- 油膜様物質は、混入した異物ではなく、茶ポリフェノールとカルシウムを主成分とする高分子であることが推定される。
成果の活用面・留意点
- ほうじ茶、紅茶や緑茶においても上記の条件で油膜様物質が生成する。紅茶や緑茶で油膜様物質が問題にならないのは、通常は煮出すことがないからである。
- 油膜様物質が生成されるような抽出条件では、見た目だけでなく、香味も劣るので、できるだけ生じさせないことが望まれる。
- 茶を煮出す場合、油膜様物質生成を防ぐには、カルシウム濃度の低い水を用い、浸出液は速やかに冷却すればよい。
具体的データ



その他
- 研究課題名:茶品質の理化学的評価の簡便化
- 予算区:交付金
- 研究期間:1999~2002年度
- 研究担当者:堀江秀樹、木幡勝則、氏原ともみ
- 発表論文等:1) 堀江ら (2002) 食科工 49: 345-347.