複合病虫害抵抗性メロン「アールス輝」

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要約

複合病虫害抵抗性を有するアールス系「アールス輝」を育成した。本系統は、うどんこ病、つる割病及びワタアブラムシに高度な抵抗性を示す。果形は正球形で美しく、ネット発現にも優れる。また、糖度、香りともに高く、果実品質も良好である。

  • キーワード:メロン、抵抗性、うどんこ病、つる割病、ワタアブラムシ
  • 担当:野菜茶研・果菜研究部・ウリ科育種研究室
  • 連絡先:電話059-268-1331、電子メールysakata@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・野菜育種
  • 分類:技術・普及

背景・ねらい

アールス系メロン産地では、ワタアブラムシによる生育障害やウイルス病の媒介、またうどんこ病の発生が大きな問題になっている。ワタアブラムシ防除のため に、化学農薬に代わって天敵の利用等も進みつつあるが、天敵のみによる防除は困難である。また、現在、ほとんどの実用品種はうどんこ病抵抗性を有するとさ れているが、今なお秋季を中心としてうどんこ病の被害は大きく、化学農薬に頼らざるを得ないのが現状である。一方、減農薬・無農薬栽培を求める声は強く、 高度な病虫害抵抗性を有する品種の育成が切望されている。そこで、ワタアブラムシ・うどんこ・つる割病抵抗性と優れた果実品質を兼ね備えたアールス系メロ ンF1品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 1999年に愛知県農業総合試験場育成のつる割病抵抗性高品質アールス系メロン「愛知3号」を母本とし、野菜茶業研究所育成のワタアブラムシ及びうどんこ病抵抗性メロン「AR91-2」を父本として交配したF1系統(図1・図2)は、目的とした病虫害抵抗性とともに、優れた果実品質も兼ね備えていた。そこで、「アールス輝」と命名し、2001年から2003年度にかけて、特性検定試験ならびに系統適応性検定試験を実施した結果、アールス系メロン品種として有望であると評価された。
  • 「アールス輝」はうどんこ病、つる割病(レース0及び2)ならびにワタアブラムシに高度な抵抗性を有し(表1)、減農薬栽培が可能である。
  • 一般の市販品種に比べ、草姿はややコンパクトであり、草丈及び節間長はやや短く、葉もやや小さい(表2)。雌花着生、着果性ともに高く、栽培は容易である。
  • 従来のアールス系メロン品種に合わせた栽培では果実はやや小ぶりとなりやすい(表2)。
  • 成熟日数は一般の市販品種に比べやや早い。果形は正球形で、果皮色は灰緑色、ネットの発現は良好であり、果実外観は優れる。果肉は黄緑色で高級感があり、香り・糖度が高く、食味は良好である。日持ちは5~7日程度と、一般の実用品種に比べやや短い。

成果の活用面・留意点

  • 従来のアールス系メロン品種に合わせた栽培では果実はやや小ぶりとなりやすいため、「アールス輝」の果実肥大特性にあわせた栽培管理(少量多回数灌水等)を行い、順調な果実肥大を図る。
  • 果実表面が僅かに緑化するので、明るい灰緑色を望む場合には新聞紙等により遮光する。
  • 果実の日持ちが5~7日程度であるため、適期収穫および適期消費を心がける。

具体的データ

図1「メロン久愛交1号」の育成経過

図2 「メロン久愛交1号」の果実

表1「メロン久愛交1号」のワタアブラムシ、うどんこ病及びつる割病抵抗性

表2「メロン久愛交1号」の特性

その他

  • 研究課題名:メロン久愛交1号の特性検定・系統適応性検定試験
  • 課題ID:11-05-01-01-19-03
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1999~2003年度
  • 研究担当者:坂田好輝、大薮哲也(愛知農総試)、矢部和則(愛知農総試)、杉山充啓、森下昌三、菅原眞治(愛知農総試)、齊藤猛雄