ロングマット苗水耕装置の野菜育苗への利用

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要約

水稲のロングマット苗移植技術で使用される水耕装置は葉菜類のセル成型苗,イチゴの省力育苗装置としても利用できる。

  • キーワード:ロングマット、セル成型苗、葉菜類、イチゴ
  • 担当:野菜茶研・葉根菜研究部・生産システム研究チーム
  • 連絡先:電話0298-38-8529、電子メールhigashio@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・野菜栽培生理、関東東海北陸農業・関東東海・総合研究
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

稲栽培の省力化を目指し、ロングマット苗移植技術が開発された。しかし、その技術導入のためには、水耕育苗装置(図1)が必要であり、新たな初期投資を生産者に求めることとなる。このため、4月の稲育苗期間と競合しない期間に、ロングマット苗水耕装置を野菜苗の栽培に汎用利用する技術開発を行う。

成果の内容・特徴

  • 葉菜類のセル成型苗に利用する場合、セルトレイ(128穴)をベッド上に配置し、1/2単位の大塚A処方の培養液を1日2回15分間給液すれば、慣行(1/4単位を頭上液肥灌水育苗)のセル成型苗と変わらぬ葉菜類の生育・収量が得られる(表1、図2)。
  • イチゴ苗に利用する場合、空中採苗したイチゴ苗の割型ポット(培地:水ゴケ)を直接50穴トレイに千鳥状に配置し、1/2単 位の大塚A処方培養液を1日2回15分間給液する。育苗期間が2週間程度であれば、従来のポット育苗に近い収量が得られ、なおかつ収穫開始が3週間程度早 まる(図3)。

成果の活用面・留意点

  • セル成型苗の育苗に当たり、ルートマット形成を抑制するためには、支持体を利用して水切りを良くする必要がある。
  • イチゴ苗の育苗に当たっては、育苗が高温期となるため、2ケ月近い長期の育苗は減収となる。

具体的データ

図1 ロングマット苗水耕装置による育苗の概況

表1 数種葉菜類の定植時における生育

図2 育苗方法の違いがキャベツ収量に及ぼす影響

図3 育苗方法の違いがイチゴ収量に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:ロングマット水耕装置を利用した野菜苗等の省力生産技術の開発
  • 課題ID:11-01-02-01-03
  • 予算区分:ロングマット
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:東尾久雄、廣兼久子、佐藤文生、徳田進一、浦上敦子、森下昌三、浦嶋泰文