茶園における超緩効性肥料の肥効特性

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要約

3年間有効であるとされる超緩効性肥料は茶園土壌を用いた室内試験では約2年間の無機化期間を有する。本肥料を樹冠下施用すると、45kgN/10a・一回の施用量で慣行施肥区の速効性肥料60kgN/10a・年と同等の肥効を2年間示す。

  • キーワード:チャ、超緩効性肥料、施肥削減
  • 担当:野菜茶研・茶業研究部・土壌肥料研究室
  • 連絡先:電話059-45-4924、電子メール wtbi@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・茶業推進部会
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

チャは他の作物に比較して著しく多肥であるため、窒素肥料の環境への負荷が懸念されている。当研究室の調査でも静岡県のあ る集団茶園地帯の湧水で硝酸性窒素が30mg/Lを超える地点がみられ、環境容量に対応した窒素施肥体系の確立が求められている。ここでは3年間有効であ るとされる超緩効性肥料を1回に施用し、年間窒素施用量30kg/10a以下をめざす。

成果の内容・特徴

  • 茶園土壌を用いた超緩効性肥料の室内試験での無機化期間は約2年である(図1)。
  • 3年間の一番茶収量は、超緩効性肥料の場合(表1 A:90kgN/4年、B:45kgN/4年)において1年目はいずれも慣行施肥の硫安60kgN/10a/年区に比較して優れ、2年目でもほぼ同等である。その結果、本肥料は2年間有効である(図2)。
  • 3年間の一番茶アミノ酸含量は、超緩効性肥料の場合、全て1年目から3年目まで慣行施肥の場合より優れる(図3)。
  • 2年間の二番茶収量は1年目、2年目の超緩効性肥料の場合において、慣行施肥の場合に比較してやや劣る。
  • 2年間の二番茶アミノ酸含量は超緩効性肥料の場合、慣行施肥の場合に比較して劣る。

成果の活用面・留意点

  • 超緩効性肥料の場合、二番茶のアミノ酸含量を確保するため速効性肥料を夏、補うか否か、今後の検討課題である。
  • 3年目の二番茶収量、アミノ酸含量は中切りのためデータが得られず、解析が不十分である。

具体的データ

表1 施肥設計(10aあたり)

図1 超緩効性肥料の無機化特性(ビーカー培養法、培養温度:18°C、窒素添加:1600mgN/kg・乾土)

図2 収量の推移

図3 アミノ酸含量の推移

その他

  • 研究課題名:超緩効性肥料肥料の利用による茶樹の低窒素栽培技術の開発
  • 課題ID:11-06-03-01-03-03
  • 予算区分:ISA
  • 研究期間:1999~2003年度
  • 研究担当者:渡部育夫、野中邦彦、加藤忠司