多段充填塔抽出装置を用いた茶抽出液濃度のシミュレーションによる予測

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要約

多段充填塔を用いて茶の温水抽出をする場合、抽出液濃度は開発したシミュレーション法により予測可能である。これにより希望する濃度の抽出液を得るための抽出条件を決定できる。

  • キーワード:充填塔、茶抽出液濃度、シミュレーション、連続相流動モデル
  • 担当:野菜茶研・機能解析部・茶機能解析研究室
  • 連絡先:電話 059-268-4633、電子メール ktsuji@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

茶の抽出物は、温水抽出乾燥物であるインスタントティのみならず、機能性食品原料としても需要の増加が期待されている。通 常、抽出液を濃縮する場合には香気成分などの揮散があるので、高品質な抽出物を得るためには濃縮工程を必要としない程度の高濃度抽出液を安定的に得ること が必須である。物質移動速度論的手法を用いたシミュレーション法による抽出液濃度予測法は、高濃度抽出装置の設計および抽出条件の設定を行う上で、有望な ツールとなる。

成果の内容・特徴

  • 抽出速度に関する基本方程式とバッチ式抽出試験(図1)から求めた総括抽出速度係数kD (=DA/WT)は0.45である。
  • 充填塔抽出装置内における抽出液(連続相)の流動形式は、押し出し流れではなく逆混合流れ系である。
  • 充填塔抽出装置内における抽出液(連続相)の流動形式は、押し出し流れではなく逆混合流れ系である。
  • 本モデルによるシミュレーションにより、工業的に高濃度抽出液を得る場合に良く用いられる半向流式多段抽出装置での抽出液の濃度を予測することが可能である(図4)。
  • これにより、希望する濃度の抽出液を得るための抽出条件を選定することが可能である。

成果の活用面・留意点

  • 本シミュレーションは抽出温度70℃の場合の結果である。本方法を用いるためには、使用する茶 葉および温度でのバッチ試験により、あらかじめ総括抽出速度係数を求めておく必要がある。
  • 工業的に用いる場合はスケールアップ試験が必要である。

具体的データ

図1 バッチ式抽出試験結果

 

図2 逆混合流れ系のモデル化

 

図3 4段充填塔抽出試験結果

 

図4 半向流式3段連続抽出試験結果

 

その他

  • 研究課題名:茶成分の効率的抽出法及び精製方法の検討
  • 課題ID:11-10-03-01-05-01
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:1996~2001年度
  • 研究担当者:辻 顕光
  • 発表論文等:Kenkou Tsuji(2001): Proceedings of 2001 International Conference on O-CHA culture and Science,(IV)85-88