新たに見いだしたメロンえそ斑点病抵抗性メロン

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要約

メロンえそ斑点病に対するメロン抵抗性素材を検索し、病斑を形成せず、接種葉でのウイルス増殖も認められない45品種・系統のメロンを見いだした。これらのMNSV抵抗性メロンは、マクワウリ、あるいは網メロンに属する。

  • キーワード:メロン、メロンえそ斑点病、MNSV、臭化メチル、抵抗性、遺伝
  • 担当:野菜茶研・果菜研究部・ウリ科育種研究室
  • 連絡先:電話059-268-4666、電子メールsugimi@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・野菜育種
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

メロンえそ斑点ウイルス(MNSV)によって引き起こされるメロンえそ斑点病は、日本各地のメロン産地で発生し、大きな問題となっている。本病害は土壌伝 染することから、2005年に土壌消毒剤臭化メチルが撤廃されると、さらなる被害の拡大が懸念される。メロンえそ斑点病抵抗性品種として、nsv抵抗性遺 伝子を有するアメリカキャンタロープ型メロン'Perlita'、'PMR 5'などがすでに報告され、それらは台木として、あるいは育種素材として利用が始められている。そこで、メロン遺伝資源についてMNSV抵抗性検索を行 い、さらに新たな抵抗性素材を見いだす。また、それらの抵抗性の遺伝様式を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 'メロン中間母本農4号'、'香瓜'、'甫立'、'成歓マクワ'、'平塚1号'などの45品種・系統は、MNSVに対して抵抗性を示す(表1)。
  • MNSV抵抗性メロンではMNSVの接種に対して接種葉及び上位葉において病徴は認められず、接種葉でのウイルス増殖も認められない(表2)。
  • MNSV抵抗性メロンはマクワウリ(セイカンマクワを含む)タイプ、あるいは網メロンタイプで、網メロンタイプの多くは赤肉のアメリカキャンタロープ型である(表2)。
  • MNSV抵抗性メロンと罹病性'夏系6号'とのF1は罹病性であることから、これらの抵抗性は劣性遺伝し、また、MNSV抵抗性遺伝子nsvを保有する抵抗性'Perlita'とのF1は抵抗性を示す(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は汁液接種による検定結果であり、汚染圃場による検定は行っていない。
  • 今回見いだした抵抗性メロンもnsv抵抗性遺伝子を有すると推定されるため、海外で報告されたnsvを保有する抵抗性を罹病化させるMNSV系統に対しては、罹病化すると考えられる。
  • 新たに見いだしたMNSV抵抗性メロンは、'Perlita'、'PMR 5'などと同様に育種素材として用いることができる。

具体的データ

表1 メロン品種・系統のえそ斑点ウイルス接種検定結果

表2 抵抗性品種・系統からのウイルスの検出とF1検定

その他

  • 研究課題名:ウリ科ウイルス(MNSV等)に対する抵抗性品種・台木の選抜
  • 課題ID:11-05-01-01-08-03
  • 予算区分:IPM
  • 研究期間:2001~2003年度
  • 研究担当者:杉山充啓、坂田好輝、小原隆由