ショウガ辛味成分[6]-ジンゲロールの活性窒素種抑制効果

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要約

ショウガの辛味成分である[6]-ジンゲロールは、誘導型一酸化窒素合成酵素の誘導を抑制することでマクロファージの一酸化窒素産生を抑制する。さらに、 [6]-ジンゲロールは、パーオキシナイトライトによる酸化およびニトロ化を抑制してDNAおよびタンパク質を保護する。

  • キーワード:ショウガ、[6]-ジンゲロール、活性窒素種、一酸化窒素、パーオキシナイトライト
  • 担当:野菜茶研・機能解析部・品質解析研究室
  • 連絡先:電話059-268-4636、電子メールippoushi@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・品質・情報
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

高齢社会を迎え、健康の維持・増進に対する関心は極めて高くなっており、野菜の健康維持機能が注目されている。そこで、新 たな機能性として、野菜の機能性成分中に、がんや老化に関与することが知られている活性窒素種の一種である一酸化窒素(NO)およびパーオキシナイトライ ト(ONOO-)による酸化ストレスを抑制する物質を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ショウガの辛味成分である[6]-ジンゲロールは、リポ多糖で刺激されたマクロファージの一酸化窒素の産生を抑制する(図1)。
  • [6]-ジンゲロールは、一酸化窒素の合成を行う誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の誘導を阻害することにより、一酸化窒素の産生を抑制する(図2)。
  • [6]-ジンゲロールは、パーオキシナイトライトによる酸化を抑制する(図3)。
  • [6]-ジンゲロールは、パーオキシナイトライトによるDNA鎖切断およびタンパク質のニトロ化を抑制し、パーオキシナイトライトの傷害作用からこれらDNAおよびタンパク質を保護する(図4)。

成果の活用面・留意点

  • この知見は、ショウガの辛味成分を活用した機能性食品の開発に応用できる。
  • 本研究で得られた成果の食生活等の場面での活用にあたっては、さらに動物実験によるin vivo での評価が必要である。

具体的データ

図1 [6]-ジンゲロールのNO産生抑制効果

図2 [6]-ジンゲロールのiNOS誘導抑制効果

図3 ONOO-による酸化に対する[6]-ジンゲロールの抑制効果

図4 ONOO-の傷害作用に対する[6]-ジンゲロールの保護効果

その他

  • 研究課題名:野菜由来の機能成分を中心とした食品成分の相互作用によるRNSの細胞傷害抑制効果の解明
  • 課題ID:11-10-02-01-05-01
  • 予算区分:食品成分
  • 研究期間:2000~2001年度
  • 研究担当者:一法師克成、東敬子、伊藤秀和、堀江秀樹、東尾久雄
  • 発表論文等:Ippoushi et al. (2003) Life Sci. 73:3427-3437.