カテキン類標準溶液の長期保存方法

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要約

カテキン類標準物質にアスコルビン酸を等モル濃度以上添加し、蒸留水に溶解後、100μlずつ褐色ガラス瓶に分注して冷凍保存することで、少なくても1年は安定に保存することができる。

  • キーワード:チャ、カテキン類標準溶液、アスコルビン酸、分注、冷凍保存
  • 担当:野菜茶研・機能解析部・茶品質化学研究室
  • 連絡先:電話 0547-45-4982、電子メール kks914@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:科学・参考

背景・ねらい

カテキン類は、一旦溶媒に溶解してしまうと冷凍保存しても徐々に分解が進むことから、分解を防ぐためには繰り返し標準試料 を調製する必要がある。そのため、数種類のカテキン類を繰り返し秤量して、調製するのが面倒であり、また、試薬が高価であることもあり、長期に渡り保存で きる適切な方法の開発が望まれている。

成果の内容・特徴

  • 考案した方法は、カテキン類標準物質にアスコルビン酸(AsA)を等モル濃度以上添加し、一定量の蒸留水に溶解後、100μlずつ褐色ガラス瓶に分注して直ちに冷凍庫で保存、使用直前に解凍し、900μlの蒸留水を加えて10倍に希釈して使用する方法である(図1)。
  • 冷凍保存(-20℃)後、標準カテキン類の含有量は3ヶ月はもちろん、1年経過してもほとんど変化がみられず、安定である(図2)。抗アレルギー成分であるストリクチニンやエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(EGCG3"Me)およびカフェインも同様に保存でき、標準試料として使用できる。 また、AsAも安定であることから、標準試料として使用できる(図2)。
  • 一旦使用したカテキン類標準溶液を翌日まで冷蔵保存しても、含有量にほとんど変化がみられないが、翌日使用した溶液をさらに翌日(2日後)まで冷蔵保存した場合は、分解が進んでしまうことから、標準試料として使用することはできない(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 図1の方法に従えば、9本の標準溶液を調製できる。等倍すれば必要に応じた数の試料が調製できる。標準試料を秤量する際は、図1に厳密に従う必要はなく、大方の目安でよい。また、メノウ鉢の代わりに乳鉢を用いることも可能であるが、前者の方が鉢から掻き取りやすい。
  • ストリクチニンは市販されておらず、十分な量が確保できなかったことから他の成分より少ない量比で用いた。
  • HPLCクロマトグラム上でのカテキン類とAsAとのピークの重なりは見られず、分析において問題になることはない。

具体的データ

図1 カテキン類標準物質の調整法と保存法

 

図2 カテキン類標準溶液の冷凍保存中の含有率変化

 

図3 一旦使用したカテキン類標準溶液の冷蔵保存中の含有率変化

 

その他

  • 研究課題名:茶葉中抗アレルギー成分の利用技術の開発
  • 課題ID:11-10-03-01-04-02
  • 予算区分:地域コンソーシアム
  • 研究期間:2001~2005年度
  • 研究担当者:木幡勝則、砂田智、山本(前田)万里、氏原ともみ、林宣之