ハイワイヤー誘引法での低所作業台車利用によるトマト収穫作業の軽労化

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

座席に座ったまま畝間での進行方向が調整できる電動式作業台車を導入し、吊り用器具で主茎を吊り上げて果実の位置を高くすることにより、ハイワイヤー誘引法での低位置におけるトマトの収穫作業の軽労化が図れる。

  • キーワード:トマト、収穫作業、作業台車、作業姿勢、吊り用器具、軽労化
  • 担当:野菜茶研・果菜研究部・作業技術研究室、栽培システム研究室
  • 連絡先:電話0569-72-1564、電子メールhir@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・野菜栽培生理、共通基盤・作業技術
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

近年、トマトの高品質・多収生産を図り、産地の活性化および経営体の持続的発展のために、高軒高温室を活用した促成長期栽培(ハイワイヤー誘引法)が取り組まれ、収穫期間が7~8ヶ月となり、慣行の手押し台車を利用した収穫・運搬作業では、腰曲げ姿勢が多く発生することから、収穫・運搬作業の省力化・軽作業化が急務の課題となっている。そこで、誘引法の改善および電動式の低所作業台車を利用して収穫作業を行った時の軽労効果を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 電動式作業台車の座席の回転と車輪の操舵を連動できるように改良することで、作業者は座席に座ったままで畝間での進行方向の調整が簡単に行える。走行用スイッチが座席の脇にあり、両手で収穫作業をしながらでも脚で走行・停止の操作および座席を回転させ操舵を行うことができる(表1、図1)。
  • 作業能率は慣行の手押し台車利用と同等であるが、電動式作業台車の利用により心拍数増加率は低い。また、OWAS法による早急に改善を要する姿勢割合(AC3+AC4)が、手押し台車利用で44%発生するのに対し、電動式作業台車を利用すると1%であり、体幹部の曲げが改善され、身体負担が軽減できる(表2)。
  • 誘引用のワイヤーから吊り下げた器具(1.5~2.0m間隔で設置)で主茎を50cm程度まで吊り上げて果実位置を高くすると、体幹部の曲げが改善されるとともに、早急に改善を要する姿勢割合(AC3+AC4)が0%となり、さらに身体負担の少ない姿勢で作業が行える(表2、図2)。

成果の活用面・留意点

  • 電動式作業台車は収穫作業の他、摘葉作業などの低位置での作業に利用でき、軽作業化に有効である。
  • 主茎を吊り上げる器具は約600個/10a(2万円程度/10a)必要である。

具体的データ

表1 電動式作業台車の主要諸元 図1 座席と前輪

表2 収穫作業の身体負担軽減効果

図2 収穫作業

その他

  • 研究課題名:施設内収穫物運搬・移動作業の改善
  • 課題ID:11-02-02-01-12-04
  • 予算区分:東海地域施設野菜
  • 研究期間:2000~2004年度
  • 研究担当者:大森弘美、川嶋浩樹、黒崎秀仁、雁野勝宣