PO系紫外線除去フィルムによる灰色かび病、ワタアブラムシの発生抑制効果

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要約

PO系紫外線除去フィルムを展張した雨除けハウスのキュウリでは、一般のPO系フィルムや農ビフィルムと比べて、灰色かび病やワタアブラムシの発生が抑制され、その効果は従来の農ビの紫外線除去フィルムと同程度である。

  • キーワード:PO系紫外線除去フィルム、灰色かび病、ワタアブラムシ、キュウリ
  • 担当:野菜茶研・果菜研究部・虫害研究室、病害研究室
  • 連絡先:電話050-3533-3863、電子メールohtaiz@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・野菜生産環境
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

紫外線を透過しない農業用ポリ塩化ビニルフィルム(農ビフィルム)で被覆したハウスでは、各種病害虫の発生が抑制されることが知られている。一方、近年新たに導入された農業用ポリオレフィン系フィルム(PO系フィルム)は、農ビフィルムと比べて軽量で扱いやすく、耐候性が高いなどの特徴から利用が拡大している。最近、フィルムメーカーによって紫外線除去機能を有したPO系フィルムが開発されたが、病害虫の発生抑制効果を確認するまでには至っていない。また、PO系フィルムは保温や防塵性能などが農ビフィルムと異なるため、これらの物理的特性の違いがPO系紫外線除去フィルムの病害虫発生抑制効果に影響を与える可能性も考えられる。そこで、PO系紫外線除去フィルムを展張した雨除けハウスにおいて各種病害虫の発生状況を調査し、一般のPO系フィルムや農ビフィルム、及び農ビの紫外線除去フィルムと病害虫の発生抑制効果を比較する。

成果の内容・特徴

  • PO系紫外線除去フィルムのハウスでは、同一フィルムを展張した2カ年ともキュウリの灰色かび病の発生が抑制され、一般のPO系フィルムや農ビフィルムのハウスの約半分程度である。また、その効果は農ビ紫外線除去フィルムと同程度である(図1、図2)。
  • PO系紫外線除去フィルムのハウスでは、同一フィルムを展張した2カ年ともワタアブラムシの発生がほぼ抑制され、その効果は農ビ紫外線除去フィルムと同程度である(図3、図4)。

成果の活用面・留意点

  • 供試した4種類のフィルムの厚さはいずれも0.1mmである。
  • PO系紫外線除去フィルムは、農ビの紫外線除去フィルムと同様、うどんこ病やべと病、葉かび病、ダニ類等の発生を抑制する効果はない。
  • PO系紫外線除去フィルムはトマトのコナジラミ類に対しても発生抑制効果を示すが(データ省略)、農ビ紫外線除去フィルムで効果が認められているアザミウマ類やハモグリバエ類については少発生で効果判定が不能だったため、さらに検討する必要がある。

具体的データ

図1.キュウリにおける灰色かび病の発生推移 図2.キュウリにおける灰色かび病の発生推移

図3.キュウリにおけるワタアブラムシの発生推移 図4.キュウリにおけるワタアブラムシの発生推移

その他

  • 研究課題名:フィルムの紫外線吸収特性が野菜病害の発生に及ぼす影響、フィルムの紫外線特性が野菜害虫の発生に及ぼす影響
  • 課題ID:11-05-02-01-17-04、11-05-03-01-13-04
  • 予算区分:その他受託、交付金
  • 研究期間:2003~2004年度
  • 研究担当者:太田 泉、北村登史雄、西 和文、佐藤 衛、鈴木親久(MKVプラテック)
  • 発表論文等:西ら (2004) ビニールと農園芸 228: 7-12.