エブ&フロー方式によるレタス育苗法
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要約
育苗開始時に所定濃度の培養液を調整し、培養液減少分を水だけで補うエブ&フローかん水方式で揃いの良いレタス苗生産ができる。育苗開始時培養液濃度は収量および苗の草姿が慣行同等で、苗・結球重の斉一性が最も優れる園試処方1/10倍濃度が適する。
- キーワード:レタス、育苗、エブ&フロー
- 担当:野菜茶研・葉根菜研究部・作型開発研究室
- 連絡先:電話050-3533-3863、電子メールsakugata@ml.affrc.go.jp
- 区分:野菜茶業・野菜栽培生理
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
エブ&フローは省力的で揃いの良い育苗が可能なかん水方式であり、これまでにキャベツ育苗法を開発してきたが、他の野菜へも適用が求められている。特にレタスは葉菜類中セル苗の普及率が最も高いが、連続的に作付けられ、収穫作業と育苗管理作業が競合することから、省力的で安定したセル苗生産システムに対する需要が高い。そこで、キャベツのエブ&フロー育苗基本技術マニュアルを元に、レタスに適した培養液濃度について明らかにする。
成果の内容・特徴
- 200穴セルトレイに詰めた肥料分無添加の培養土に播種し、出芽後より所定濃度培養液によるエブ&フロー育苗を開始する。かん水は毎朝の1日1回とし、蒸発散による培養液減少分は水で補うこととし、肥料分の追加は行わない。
- エブ&フロー方式により慣行育苗より揃いの良い育苗ができる。ただし、園試処方1/20倍濃度育苗(以下1/20濃度育苗、他の培養液濃度についても同様)は慣行苗より小苗である一方、1/5濃度育苗では大苗・徒長気味で、移植時の作業性も低下するが、1/10濃度育苗では、草姿などが慣行育苗と同等であり、揃いも最も良い(図1)。
- 順調に活着した場合の収穫時地上部生体重および結球部収量は、慣行育苗に比べ、1/10濃度育苗・1/20濃度育苗でほぼ同等、1/5濃度育苗で若干高くなる(図2)。
- 培養液濃度が高いほど、地上部の生育量は大きくなる一方、地下部の生育量は相対的に劣り(図3)、移植適期苗の活着の良否の指標となる引張荷重は1/10濃度育苗で最も高い(図4)。
成果の活用面・留意点
- 頭上かん水に比べ、培養土水分が高めに推移するほか、培養液を媒体として病害が拡大するおそれがあるので、トレイなどの育苗資材を土などで汚さないように注意が必要である。
- 曇天が続く場合は、かん水を控えるなど、徒長抑制の方策を講ずることが望ましい。
具体的データ


その他
- 研究課題名:エブ&フロー育苗方式による葉菜類高品質苗生産システムの開発
肥料分未添加育苗培養土を用いた健苗生産技術の開発
- 課題ID:11-01-02-01-05-03、11-01-02-01-15-04
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2003~2004年度
- 研究担当者:岡田邦彦、山崎敬亮、奥野善久(富山県高岡農業改良普及センター)