培養液への塩化カリウム添加によるキャベツセル成型苗への耐干性付与
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要約
高温条件下で出芽直後から0.18%のKClを添加した園試処方液を用いエブ&フロー方式でキャベツセル成型苗を育苗すると、セル成型苗に耐干性を付与することができる。
背景・ねらい
これまでキャベツセル成型苗の斉一性向上を目的としてエブ&フロー方式による育苗法を開発するとともに、定植直前にセルトレイごとNaCl溶液に浸漬する塩締め処理によって、苗に耐干性を付与できる技術を開発している。しかしながら、塩締め処理の場合、多くの苗に処理を施す場合にセルトレイの浸漬の手間やNaCl溶液の処分などが問題となる。
そこで、多量のセルトレイに対し培養液を均一に自動供給できるエブ&フロー灌水の特性を利用し、培養液の改良による苗への耐干性付与技術を開発する。
成果の内容・特徴
- 夏季高温期に128穴セルトレイに播種したキャベツに対し、育苗期間を通じて塩化カリウム(KCl)を添加した7/100倍濃度園試処方液を、1日1回エブ&フロー灌水することにより、コンパクトで葉の厚い苗を育成できる(表1)。
- 対照区の移植苗が全て枯死する18時間以上の断水処理でもKCl処理苗は生存する。特にKCl 0.18%添加区では24時間断水処理でも約70%の個体が生き残る(図1)。また、対照区が枯死に至らない4時間以内の断水処理の場合には、KCl添加区の方が移植後の生育量が大きい(図2)。
- 定植後速やかに灌水する良好な条件下では、球重は対照区よりやや増加する(図3)。
- 培養液組成を変えない単純な高濃度培養液育苗では、地下部の生育が劣り、根鉢形成にいたらなかったが、KCl添加苗は全自動移植機による移植にも問題はない(データ省略)。
- KCl処理苗では、葉表面のワックスのほか、乾燥ストレスを受けた際に増加するとされるプロリンが増加する(データ省略)。
成果の活用面・留意点
- 本成果のデータは、「松波」を使用したものである。
- 本圃準備が間に合わないなど、育苗期間が延長する場合、過度の塩ストレスで苗質が劣化するおそれがある。
具体的データ
その他
- 研究課題名:活着促進と肥培管理によるキャベツ生育斉一化技術の開発
- 課題ID:11-01-02-01-11-04
- 予算区分:ブラニチ6系
- 研究期間:2003~2005年度
- 研究担当者:村上健二、生駒泰基、岡田邦彦、塚本証子