キャベツの硝酸塩蓄積特性
※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。
要約
キャベツ球は硝酸還元酵素活性が低く、硝酸塩蓄積には根から球への硝酸態窒素の流入が関係している。遮光により外葉に硝酸塩が蓄積しても、球ではその影響が小さい。
- キーワード:キャベツ、窒素代謝、硝酸
- 担当:野菜茶研・葉根菜研究部・生産システム研究チーム
- 連絡先:電話029-838-8529、電子メールbunsei@affrc.go.jp
- 区分:野菜茶業・野菜栽培生理
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
人体に悪影響を及ぼすことが懸念されている硝酸塩の野菜への蓄積は、受光量の低下で促進されることが知られている。貯蔵部位であるキャベツ球の硝酸塩蓄積特性は、受光部位である外葉と異なると考えられる。そこで、結球期キャベツの硝酸塩蓄積特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 根から吸収された窒素の多くは、一旦外葉に取り込まれ、その後、徐々に球に移行する。この期間において球の硝酸含量は外葉より低く推移し、ほぼ一定である(図1)。
- 球の硝酸還元酵素活性は、外葉に比べ著しく低い(表1)。
- 窒素が根から吸収されている時は、球では窒素が主に硝酸画分に分配される(図2A)。
- 窒素が外葉から球に移行している時は、球では窒素が主にアミノ酸画分とタンパク質画分に分配される。この時、硝酸画分への窒素分配は、外葉で低下するが、球では変わらない(図2B)。
- 遮光処理によって硝酸画分への窒素分配は外葉では増加するが、球では変わらない(図3)。
成果の活用面・留意点
- 本成果では、試料の80%エタノール抽出物を陰イオン交換樹脂に流し、蒸留水溶出液の窒素を硝酸画分、1mol/L塩酸溶出液の窒素をアミノ酸画分とし、抽出残さの窒素をタンパク質画分としている。
- 本成果では、加温ガラス室内でポット栽培したキャベツ品種「金系201号」を用いている。
具体的データ


その他
- 研究課題名:窒素炭素転流特性の解析による硝酸塩蓄積機構の解明
- 課題ID:11-04-04-01-11-04
- 予算区分:高度化事業
- 研究期間:2002~2004年度
- 研究担当者:佐藤文生、東尾久雄、浦上敦子、徳田進一、廣兼久子