果肉が硬く、食感の優れる「きゅうり中間母本農4号」(旧系統名 キュウリ安濃3号)
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要約
「きゅうり中間母本農4号」は「久輝」などの市販品種に比べ、果実の硬度が高く、食感が優れる。本系統はキュウリの果実硬度向上のための育種素材として利用できる。
- キーワード:キュウリ、高硬度性、食感、品質育種
- 担当:野菜茶研・果菜研究部・上席研究官、ウリ科育種研究室
- 連絡先:電話059-268-4666 、電子メールysakata@affrc.go.jp
- 区分:野菜茶業・野菜育種
- 分類:科学・普及
背景・ねらい
食感はキュウリのおいしさの重要な要素である。しかし、果実の外観品質を良くするために普及したブルームレス台木の利用により、果 皮が硬くなる一方、果肉の硬度が低下し、キュウリの食感は悪化したといわれている。そこで、果実に苦みはあるものの、果実が硬い「新昌白皮」を育種素材と して、ブルームレス台木を利用しても食感の優れるきゅうり中間母本を育成する。
成果の内容・特徴
- 「きゅうり中間母本農4号」は、中国から導入した高硬度性キュウリ「新昌白皮」にわが国の市販品種「シャープ1」を 交雑、その後、「夏節成」、「アンコール10」を交雑し、果肉が硬く、市販品種並みの果実形質を有するキュウリを目標に選抜を繰り返して育成した固定系統 である(図1、図2)。
- 「きゅうり中間母本農4号」は、市販品種の「久輝」より果肉硬度が高く、また、果肉比が大きく胎座に比べて硬い果肉の割合が高いことから、果実硬度が高くて食感に優れる。収量は「久輝」とほぼ同等である(表1)。
- 「きゅうり中間母本農4号」の高硬度性は複数の遺伝子に支配されており、不完全優性に遺伝すると推定される(表2)。
成果の活用面・留意点
- 「きゅうり中間母本農4号」は市販品種より果肉が硬くて厚いことから、果実硬度向上のための母本として利用できる。
- 「きゅうり中間母本農4号」は主枝に雌花が着生せず、側枝の節間が長いほか、食味面でも甘みがやや乏しく、弱い渋みも生じるなどの問題があり、その改良が必要である。
- 「きゅうり中間母本農4号」はうどんこ病・べと病に罹病性である。
- 具体的データとして示した特性値は自根栽培で得られたものであるが、ブルームレス台木に接ぎ木しても、「キュウリ安濃3号」は対照の「久輝」に比べ果実は硬く、自根栽培のデータと同様な傾向を示す。
具体的データ
その他
- 研究課題名:キュウリ高硬度系統の品質特性と加工適性の解析
- 課題ID:11-07-01-01-05-04
- 予算区分:ジーンバンク
- 研究期間:1998?2005年度
- 研究担当者:五十嵐勇、坂田好輝、大島芳文((株)ミツカン)