茶園用送風式農薬散布機による減量散布とチャのハマキガ類、炭疽病、輪斑病の防除効果

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要約

送風式農薬散布機を利用して散布薬液を減量しても、チャのハマキガ類や炭疽病、輪斑病に対して、動力噴霧機等を用いた通常の農薬散布とほぼ同等の防除効果が得られる。病害虫や薬剤の種類によっては、散布薬液量を半減することも可能である。

  • キーワード:乗用型農薬散布機、減量散布、チャハマキ、チャノコカクモンハマキ、炭疽病、輪斑病
  • 担当:野菜茶研・茶業研究部・虫害研究室、病害研究室
  • 連絡先:電話0547-45-4693、電子メールlucifer@affrc.go.jp
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

チャの病害虫防除は化学合成農薬による防除が基幹であるが、近年、安全・安心志向の高まりや労力・コストの削減、周辺環境へ与える 影響等から、農薬使用量の削減が求められている。茶園用送風式農薬散布機(平成16年度野菜茶業研究成果情報)は、散布薬液の漂流飛散の低減化と葉層内部 への到達性の向上により減量散布防除を図る農薬散布機であり、普及が期待されている。そこで、チャの主要病害虫であるハマキガ類(チャハマキ、チャノコカ クモンハマキ)、炭疽病、輪斑病を対象に、本機による減量散布防除の実用性を評価する。

成果の内容・特徴

  • 防除効果は、ハマキガ類に対する薬効が異なる3種の薬剤を送風式農薬散布機で減量散布し、動力噴霧機を用いて200 L/10a相当量の薬液を手散布する区を対照にし、これと比較することで評価する(表1、表2)。
  • 200 L/10a相当量の薬液を散布する場合、送風式農薬散布機によるハマキガ類の防除効果は、動力噴霧機を用いた場合と同等かそれ以上である(表2)。
  • 送風式農薬散布機を用いたハマキガ類の減量散布防除では、基準の半量である100 L/10a相当量で概ね対照と同程度の防除効果が得られるが、50 L/10a相当量では防除効果が低下する(表2)。
  • 送風式農薬散布機を用いた半量散布(100 L/10a相当量)は、チャの炭疽病、輪斑病に対し、慣行防除と同等の防除効果を示す(表3、表4)。
  • 減量散布した場合の防除効果は、対象病害虫や薬剤の種類により大きく異なる。減量散布で防除効果があまり低下しない薬剤と防除効果が著しく低下する薬剤があり(表1、表2)、減量散布には対象病害虫と使用農薬の見極めが重要である。

成果の活用面・留意点

  • 病害虫の薬剤感受性は、農薬や病害虫の種類だけでなく、地域等によっても異なる。本試験は静岡県島田市の野菜茶業研究所(金谷)圃場または鹿児島県枕崎市の野菜茶業研究所(枕崎)圃場によるものである。
  • 葉裏に生息するダニ類や枝幹に寄生するクワシロカイガラムシ等他の病害虫に対する防除効果は、別途検討する必要がある。

具体的データ

表1 送風式農薬散布機によるチャのハマキガ類の減量散布防除試験の概要

表2 チャのハマキガ類に対する減量散布の防除効果

表3 送風式農薬散布機によるチャの炭疽病・輪斑病の半量散布防除試験の概要

表4 送風式農薬散布機による半量散布におけるチャ炭疽病・輪斑病の防除効果(対対照)

その他

  • 研究課題名:プラントアクティベータを利用したチャの病害抵抗性付与技術の開発
  • 課題ID:11-06-01-01-13-05
  • 予算区分:生物機能
  • 研究期間:2002?2005年度
  • 研究担当者:佐藤安志、山田憲吾、吉田克志、園田亮一、武田光能、小倉紀人、大泰司誠、石島 力