キュウリの新しい食感指標
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要約
直径3mmの円柱型プランジャーが、キュウリの果肉部を貫入する間に加わる力の変化の程度を数値化したものをCI(crispness index)と定義して提案する。この値はパリパリした食感に対応する。
- キーワード:キュウリ、食感、物性測定、テクスチャー、硬さ、指標化
- 担当:野菜茶研・機能解析部・品質解析研究室
- 連絡先:電話059-268-4636、電子メールhorie@affrc.go.jp
- 区分:野菜茶業・野菜品質・情報
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
キュウリは食感が重視される野菜であるが、食感に関連する物理化学的な指標はプランジャーを貫入させ、組織が破断するときにかかる 最大の力(「硬さ」)以外になかった。食感の優れたキュウリを育成・流通させるためには、食感をより的確に表現できる客観的指標の設定が必要である。そこ で、食品の物性評価に一般的に用いられる装置を用いて、キュウリの食感を評価する方法を開発する。
成果の内容・特徴
- 本法は、プランジャーで押すことにより組織が破断されるときにかかる最大の力を「硬さ」として計測する従来法と異なり、表面組織を破断後さらに果肉内部にプランジャーが貫入している間に得られる計測値を基に計算し、CI(crispness index)として指標化するものである。
- 従来から野菜・果実の「硬さ」の測定に用いられてきた物性測定装置を使用し、輪切りにしたキュウリの切り口に対して 垂直に直径3mmのプランジャーを貫入させた際、切り口の表面の破断後に加わる力の変化の程度は食感のよいキュウリで大きく、2次微分することによりさら に強調できる(図1)。
- CIはこの2次微分値を基に図2のように計算される。
- キュウリの品種間比較の結果(図3)が示すように、CIは従来法で求めた「硬さ」とは一致しておらず、別の性質を持つパラメータである。また、キュウリがしなびると「硬さ」は変化しない場合でもCIは低下する。この値が高い場合にはパリパリしたよい食感、低ければ粘質な食感になる。
成果の活用面・留意点
- 本法は食品のテクスチャーを解析できる一般的な装置があれば適用できる。ただし、得られるデータは使用する機種に依存するので、結果は対照となる品種や条件との比較の形式で提示する必要がある。
- CIはキュウリを対象に開発したが、この概念は他の野菜や果実の食感評価にも応用が期待できる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:キュウリ食感の物理化学的計測による解明と評価
- 課題ID:11-10-02-01-01-05
- 予算区分:交付金
- 研究期間:2001?2005年度
- 研究担当者:堀江秀樹、伊藤秀和、五十嵐勇
- 発表論文等:堀江ら (2004) 園学研 3:425-428.