秋冬期加温による気温上昇が一番茶新芽の形質に及ぼす影響
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要約
加温して遅くまで生育した茶樹の一番茶新芽は、露地で秋に生育が停止する茶樹に比べて新芽重が不揃いで、全新芽数が少なく、全新芽重も少ない。また、カテキン類含量が高く、全窒素含量が低い。
- キーワード:チャ、秋冬期加温、気温上昇、一番茶新芽、不揃い、形質
- 担当:野菜茶研・茶業研究部・上席研究官、製茶システム研究室
- 連絡先:電話0547-45-4478、電子メールanan@affrc.go.jp
- 区分:野菜茶業・茶業
- 分類:科学・参考
背景・ねらい
気候温暖化の進行に伴う冬季の気温上昇は、茶生産において秋芽の生育停止時期が遅くなり、一番茶新芽の不揃いや品質に関係する成分
含量の変化をもたらすなど、一番茶の収量・品質に悪影響を及ぼすことが懸念されている。そこで、成木及び1年生鉢植え茶樹を用いて、秋冬期加温による気温
の上昇が一番茶新芽の形質に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 秋から春まで外気温度より約5∼9℃、常に高く温度管理したハウスで生育した成木及び鉢植え茶樹は、秋芽の生育停止が1月中旬まで遅れ、10月下旬に秋芽の生育が停止する露地区に比べて、一番茶新芽の1芽重、新葉数、新芽長の変動係数が大きく、新芽が不揃いである(表1、図1、図2)。
- 加温区成木及び加温区鉢植え茶樹の一番茶新芽は、それぞれ露地区に比べて全新芽数が少なく、全新芽重も少ない(表1、表2)。
- 加温区成木及び加温区鉢植え茶樹の一番茶新芽は、それぞれ露地区に比べてカテキン類含量が高く、全窒素含量が低い(表1、表2)。
- 秋から春までの平均気温が外気温度より約5∼9℃高い状況で生育すると、金谷より冬季の平均気温が8∼10℃高い沖縄で実際に見られているような一番茶新芽の不揃いや全新芽数の減少などが起こる。
成果の活用面・留意点
- 気候温暖化に伴う冬季の気温上昇が一番茶新芽の生育や品質に及ぼす影響を解析する際に活用できる。
- ここに示すものは「やぶきた」の結果であり、秋から春までの外気の平均気温が約10℃の地域で加温区と露地区の秋の最終整枝時期が異なる状況で得られたものである。
具体的データ




その他
- 研究課題名:気候温暖化による茶品質への影響解明と制御技術の開発
- 課題ID:11-08-02-01-06-05
- 予算区分:気候温暖化
- 研究期間:2003∼2005年度
- 研究担当者:阿南豊正、山口優一、澤井祐典、水上裕造