公開データベース配列情報を利用したトマトSSRマーカーの開発
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要約
栽培トマトのゲノムおよびcDNA配列情報に基づいて開発した400以上のSSR(単純反復配列)マーカーは、トマト品種・系統間で平均約30%の多型頻度を示し、SSRの繰り返し単位の反復数に応じて多型検出頻度が高くなる傾向を示す。
- キーワード:トマト、SSR、単純反復配列、マイクロサテライト、DNAマーカー
- 担当:野菜茶研・野菜ゲノム研究チーム
- 連絡先:電話050-3533-3863、電子メールaohyama@affrc.go.jp
- 区分:野菜茶業・野菜育種
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
これまでに開発・公開されているトマトのDNAマーカー連鎖地図は、Lycopersicon pennelliiなどの近縁野生種との交配後代を用いて開発されているため、実用育種において素材となる栽培品種・系統間の交雑集団では座乗するマーカーの多くが多型を示さず利用できない。さらに、SSR(単純反復配列)マーカー等、取り扱いが容易で精度の高いPCRベースのマーカーについては、開発数が極めて限られている。そこで、トマト栽培種用SSRマーカーを大量に作出し、トマトのマーカー育種技術開発のための基盤情報整備を図る。
成果の内容・特徴
- 公開データベース上のcDNA配列およびBAC末端配列からread2Marker(平成16年度主要成果)を用いて設計したSSRマーカーにはATの主要繰り返し単位を持つものが多く、その頻度はcDNA由来のマーカー中約53%、BAC由来のマーカー中約72%である(表1)。
- 開発したSSRマーカーでは、cDNA由来の148個のうち48個、BAC由来の537個のうち332個が少なくとも1組のトマト品種・系統間で多型を示し、その頻度はそれぞれ約32%および62%である。これに対し、トマトとL.pennelliiとの種間で多型を示すことがすでに報告されているcDNA由来の135個のSSRマーカーでは、そのうち約28%にあたる38個が多型を示す(表2)。
- マーカーの多型検出能(Hv)と主要繰り返し単位の反復数との間には正の相関が認められる(図1)。
- 供試した5つのトマト品種・系統の任意の一組において多型を示すマーカーの割合は17%~40%(平均28%)である(表3)。
成果の活用面・留意点
- 開発されたSSRマーカーは、トマトの遺伝解析、マーカー選抜法の開発、品種・系統識別などに利用できる。
- マーカーによっては2塩基程度のDNA断片長の差異を検出できる高精度な解析法を用いる必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:トマトゲノム研究のための突然変異体等の収集・作出
- 課題ID:221-i
- 予算区分:重点強化
- 研究期間:2006年度
- 研究担当者:大山暁男、宮武宏治、根来里美、山口博隆、福岡浩之