カテコールを内標準としたHPLCによる緑茶機能性成分の一斉分析方法

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要約

カテコールを内標準とする高速液体クロマトグラフィーにより、緑茶に含まれる8種のカテキン、3種のメチルキサンチン、ストリクチニンおよび没食子酸を60分以内に一斉分析できる。

  • キーワード:内標準法、カテコール、カテキン、茶の成分分析、HPLC
  • 担当:野菜茶研・茶生産省力技術研究チーム
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

緑茶に含まれるカテキン、ストリクチニン、カフェイン等の成分は様々な機能が明らかにされており、主に高速液体クロマトグラ フィー(HPLC)による分別定量が行われている。しかし、内標準法を用いてこれらの成分を一斉分析する報告はない。そこで、カテコールを内標準として用 いて8種のカテキン、3種のメチルキサンチン、ストリクチニンおよび没食子酸を一斉分析する方法を提供する。

成果の内容・特徴

  • 内標準のカテコール70 mgとアスコルビン酸180 mgを100 mL容の全量フラスコに入れ、超純水で定容したものを内標準液とする。各標準試薬4mgから17 mg秤取り、アスコルビン酸180 mgと合わせて100 mL容の全量フラスコに入れ、超純水で定容したものを検量線作成用等の標準液とする。
  • HPLC分析で用いる移動相Aは2L容の全量フラスコにリン酸5mLを加え超純水で定容し、アセトニトリル100 mLと混合する。移動相Bは移動相Aとメタノールを5:1(v/v)の比で混合する。
  • ODSカラム(Wakopak Navi C18-5; 5µm, 4.6 × 150 mm)を2本直列接続してカラムオーブン内に設置し、温度40℃下で図1に示す条件により成分を溶出させる。移動相の流量は試料導入後30分まで1.0 mL/分、その後1.5 mL/分とする。検出波長210 nmのクロマトグラムを得て、内標準に対する相対ピーク面積を算出する。
  • 内標準に対する相対ピーク面積から各成分を定量するための検量線の傾き、検出限界および定量限界を表1に示す。約2000時間分析しても検量線の傾きは変化しない。
  • 茶系飲料や茶浸出液に含まれる成分を分析する場合、その1mLに対し内標準液2mLと超純水3mLを加え、0.45µmのフィルターでろ 過し、10µLをHPLCに導入する。市販の茶系飲料を本手法で分析することにより、内標準とともに、8種のカテキン、3種のメチルキサンチン、ストリク チニンおよび没食子酸を検出できる(図2)。

成果の活用面・留意点

  • 分離カラムはエンドキャッピング処理されたODSカラムであり、粒子径5µm において長さ300 mm以上(今回、150mmのカラムを2本使用)確保すれば製造元やロットの影響を受けずに成分を分離できる。Hitachi社製のHPLCシステムを用 いたが、他社製のシステムにも適用できる。ただし、その場合は検量線を作成し直す必要がある。
  • 標準液は温度-30℃下で凍結させれば約1年間保存できる。ただし、解凍したら常温(20℃~25℃)で1日以内に、冷蔵(10℃)で3日以内に使用する。
  • 分析中に各成分の減少を防ぐためアスコルビン酸を添加する。従って、緑茶中のアスコルビン酸は本手法で定量できない。
  • HPLC用のアセトニトリルおよびメタノールを用いる。

具体的データ

図1 HPLC分析で用いる移動相AとBの組成

表1 本手法による検量線の傾き、検量線の相関係数、検出および定量限界

図2 A社製緑茶飲料のHPLC クロマトグラム(210nm で検出)

その他

  • 研究課題名:生体情報及び高度センシング技術による茶の省力栽培・加工技術の開発
  • 課題ID:223-b
  • 予算区分:委託プロ(食品プロ)
  • 研究期間:2006~2007年度
  • 研究担当者:水上裕造、澤井祐典、山口優一
  • 発表論文等:Mizukami et al. (2007) J. Agric. Food Chem. 55: 4957-4964