「べにふうき」緑茶からのメチル化カテキンの効率的な抽出方法

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要約

家庭等で飲用する場合「べにふうき」緑茶葉から60%以上のメチル化カテキンを抽出するには、100倍量以上の水で煮沸しながら 5分以上煎じる必要がある。一方、食品メーカー等でエキス抽出する場合、温度を90℃以上、倍率を20倍以上、時間を9~15分とすれば同じ抽出率が得ら れる。

  • キーワード:べにふうき、緑茶、メチル化カテキン、抽出率
  • 担当:野菜茶研・野菜・茶機能性研究チーム
  • 区分:野菜茶業・茶業、食品
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

「べにふうき」などに多く含まれるメチル化カテキンであるエピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)-ガレート(EGCG3”Me)及び飲料製造中に生成する熱異性体であるガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)-ガレート(GCG3”Me)は抗アレルギー作用などの機能性を有することが確認されている。「べにふうき」を緑茶飲料として利用する際に、メチル化カテキンを効率的に摂取するための最適抽出条件を明らかにし、「べにふうき」緑茶の有効利用に資する。

成果の内容・特徴

  • 一番茶(早摘み)、一番茶(適期摘み)、二番茶の中では、煮沸抽出では二番茶の、熱水静置抽出では一番茶(早摘み)のEGCG3”Me抽出率が高い(表1)。
  • 家庭等で飲用する場合、「べにふうき」緑茶葉からメチル化カテキンを60%以上抽出するためには、100倍量以上の水で煮沸しながら5分以上煎じる必要がある。熱水を注いでそのまま5分静置した場合は約30%、一晩冷蔵庫で抽出した場合は約14%の抽出率にとどまる(表1)。
  • 食品メーカー等が「べにふうき」緑茶葉からメチル化カテキン含量の多いエキスを熱水で攪拌抽出する際、70~95℃の抽出温 度、20~50倍の抽出倍率、3~15分の抽出時間の範囲内では、温度を90℃以上、倍率を20倍以上にし、時間を9~15分という条件を選択すれば同じ 抽出率が得られる(図1)。

成果の活用面・留意点

  • エキス抽出法に関しては食品工業にも応用できる。
  • アレルギー性鼻炎の症状改善効果の認められた1日あたり34mgのメチル化カテキン(日本臨床栄養学会誌 (2005)27(1),33-51)を摂取するためには、茶葉中のメチル化カテキン含量が1.5%であれば、3.8gの茶葉を約400mlの水で煮沸し ながら5分以上煎じる必要がある。
  • 実験に使用したのは蒸留水であり、硬水を使用して抽出する場合は、抽出率が下がるので注意を要する。

具体的データ

表1 茶期、抽出条件の異なる「べにふうき」緑茶葉からのメチル化カテキン抽出率

図1 抽出温度、抽出倍率、抽出時間の違いによる「べにふうき」緑茶からのメチル化カテキン抽出率

その他

  • 研究課題名:野菜・茶の免疫調節作用、生活習慣病予防作用を持つ機能性成分の評価法と利用技術の開発
  • 課題ID:312-b
  • 予算区分:基盤研究費
  • 研究期間:2000~2007年度
  • 研究担当者:山本(前田)万里、物部真奈美、廣野久子、渋市郁雄(アサヒ飲料)、篠田有希(アサヒ飲料)、山本知広(アサヒ飲料)、鈴木優子(アサヒ飲料)
  • 発表論文等:Maeda-Yamamoto et al.(2005) Food Science and Technology Research,11(3):248-253 山本ら(2007) 茶業研究報告,104:43-50