チャ品種「ふうしゅん」及び「めいりょく」の幼茶樹における少肥適応性
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要約
窒素少肥下において「ふうしゅん」及び「めいりょく」は「やぶきた」より幼茶樹の生育が良好で窒素利用率が高く、これらの点からみた両品種の少肥適応性は「やぶきた」より優れている。
- キーワード:チャ、少肥適応性、ふうしゅん、めいりょく、窒素利用率
- 担当:野菜茶研・茶施肥削減技術研究チーム
- 連絡先:電話0547-45-4478
- 区分:野菜茶業・茶業
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
茶生産においては、公共水域における窒素水質基準対策のため、窒素施肥削減技術の開発と普及が進められている。そのような状況でさらなる施肥削減を可能にするために、窒素少肥下で収量や品質が他の品種より優れる少肥適応性品種の選定が望まれている。そこで、窒素少肥下での生育程度や窒素吸収について、少肥適応性品種候補である「ふうしゅん」及び「めいりょく」と最も主要な品種である「やぶきた」との差異を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 幼茶樹を窒素少肥下(成木園の25kg/10a/年に相当)で栽培すると、1年半後には「やぶきた」に比べて「ふうしゅん」は樹高が高くなり、「めいりょく」は株張りが大きくなる(写真1)。また、1年後には「ふうしゅん」は葉、茎、根の乾物重がいずれも「やぶきた」より大きくなり、「めいりょく」は茎及び根の乾物重が「やぶきた」より大きくなる(図1)。樹体中の全窒素含有量も「ふうしゅん」及び「めいりょく」は「やぶきた」より大きくなる(図2)。
- 幼茶樹に重窒素標識硫安を施用して窒素少肥下(成木園の35kg/10a/年に相当)で栽培し、6ヶ月後に部位別窒素利用率を比較すると、「ふうしゅん」は葉、茎、根のいずれも「やぶきた」より高く、「めいりょく」は茎と根で高い(図3)。
- 以上のように、窒素少肥下において「ふうしゅん」及び「めいりょく」は「やぶきた」より生育が良好で窒素の吸収が良く、これらの点からみた両品種の幼茶樹における少肥適応性は「やぶきた」より優れている。
成果の活用面・留意点
- 少肥適応性品種選定の基礎資料として活用出来る。
- ここに示す結果は幼茶樹の生育程度及び窒素吸収に関する結果であり、最終的な少肥適応性品種選定のためには成木園での検討及び品質に関する検討も必要である。
具体的データ



その他
- 研究課題名:茶の効率的施肥技術の開発及び少肥適応性品種との組合せによる窒素施肥削減技術の開発
- 課題ID:214-m
- 予算区分:基盤研究費
- 研究期間:2006~2007年度
- 研究担当者:阿南豊正