「べにふうき」茶エキス含有クリームのアトピー性皮膚炎に対する臨床効果

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

アトピー性皮膚炎患者に体の正中線で左右に対称に分け「べにふうき」茶エキス含有クリーム及び基剤クリームを8週間塗布すると、「べにふうき」茶エキス含有クリーム塗布部のステロイドホルモン外用剤使用量や症状スコアが基剤クリーム塗布部に比べ有意に減少する。

  • キーワード:べにふうき、茶エキス、アトピー性皮膚炎、ステロイドホルモン外用剤
  • 担当:野菜茶研・野菜・茶機能性研究チーム
  • 区分:野菜茶業・茶業、食品
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

近年、わが国ではアレルギー患者が急増して、3000万人がなんらかのアレルギー症状をもつとされており、アレルギー治療・予防 に対する関心も高まっている。特にアトピー性皮膚炎は若年者のみならず幅広い年齢層での罹患が認められる。この症状の改善効果を期待できる素材の開発を目 指し、「べにふうき」緑茶のエキスを配合した保湿クリームについてアトピー性皮膚炎患者への臨床試験を行いその有効性を検証する。

成果の内容・特徴

  • 0歳から9歳までのアトピー性皮膚炎患者(アトピー性皮膚炎急性増悪期の症状がコントロールされ比較的安定した患者)26人 を対象に、体の正中線で左右対称に分けて、ランダムに「べにふうき」茶エキス2.0%含有クリームもしくは基剤クリーム(「べにふうき」の入っていない基 礎の保湿クリーム:対照)を、4週間の観察期間(白色ワセリンもしくはプロペト外用)後に8週間塗布してもらい、4週間毎に医師の診断を受けた。試験期間 中、ステロイドホルモン外用剤、プロトピック軟膏は必要に応じて外用し、使用量を記録した。試験開始から8週間後の患者の皮膚状態に関して、皮疹面積率 は、「べにふうき」茶エキス含有クリーム塗布部(BF)、対照の基剤クリーム塗布部(対照)ともに有意に低下し、8週間後では対照とBFの間で有意差が認 められ、BFの皮疹面積は対照に比べ小さい(図1)。
  • SCORADスコア(SCORing Atopic Dermatitis;発疹の範囲、紅斑・苔癬化などの発疹の多様性等を数値化し点数にして重症度を評価したもの) では、同様に対照、BFともに有意に減少し、4週間後では両者の間に有意差が認められ、BFの症状改善効果は対照に比べ強い(図2)。
  • BFと対照でステロイド外用剤使用量を比較すると、4、8週間後にBFで有意に減少する(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 8週間の使用期間内で有害事象は観察されなかった。
  • 「べにふうき」茶エキス含有クリームは、熱水抽出エキスを配合しているので着色しており、塗布部分に触れると衣類が着色するので注意を要する。
  • 本成果は、「べにふうき」茶エキス含有クリーム製品開発のための資料となる。

具体的データ

図1 皮膚皮疹面積率(片側)の変化 図2 SCORADスコアの変化

図3 「べにふうき」茶エキス含有クリーム塗布がステロイドホルモン外用剤使用量に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:野菜・茶の免疫調節作用、生活習慣病予防作用を持つ機能性成分の評価法と利用技術の開発
  • 課題ID:312-b
  • 予算区分:基盤研究費
  • 研究期間:2005~2007年度
  • 研究担当者:山本(前田)万里、藤澤隆夫(国立病院機構三重病院)、村上巧啓(富山赤十字病院)、足立陽子(富山大学)、足立雄一(富山大学)、伊藤篤夫(中北薬品)
  • 発表論文等:山本ら(2007)「アトピー性皮膚炎用外用剤及びその製造方法」特開2007-126373