極早生の緑茶用新品種「しゅんたろう」(旧系統名:「枕系47-18」)

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要約

「しゅんたろう」は「くりたわせ」より摘採期が2日ほど早い極早生系統である。「しゅんたろう」の生育・製茶品質・収量は「くりたわせ」より優れ、炭疽病と輪斑病に抵抗性を有する。

  • キーワード:チャ、しゅんたろう、枕系47-18、品種、極早生、くりたわせ
  • 担当:野菜茶研・茶IPM研究チーム、野菜・茶機能性研究チーム、茶施肥削減技術研究チーム
  • 代表連絡先:電話0993-76-2126
  • 区分:野菜茶業・茶業
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

種子島等のいわゆる「走り新茶」の生産地域では、極早生品種として「くりたわせ」が栽培されているが、収量や挿し木活着率などの栽培形質が一般的な煎茶品種に劣ること、さらに近年茶市場における「くりたわせ」の価格下落が著しいことから、「くりたわせ」に代わる優良極早生品種の育成が求められている。このため、「くりたわせ」と同等の極早生で、栽培形質および製茶品質が「くりたわせ」より優れる極早生品種を開発する。

成果の内容・特徴

  • 「しゅんたろう」は製茶品質に優れる「埼玉9号」を種子親、耐病性に優れる「枕F133422」を花粉親として1990年に交配されたF1実生群の中から選抜された系統である(図1、図2)。
  • 一番茶の萌芽期と摘採期は「くりたわせ」より2日程度早い極早生系統である(表1)。
  • 一番茶の生葉収量は「くりたわせ」より優れ、「やぶきた」と同等であり、二番茶収量は「くりたわせ」と「やぶきた」より優れ、「ゆたかみどり」と同等である。また、製茶品質は「やぶきた」と同等であり、「くりたわせ」より優れる(表1)。
  • 圃場における炭疽病の自然発生程度は「くりたわせ」より少なく、抵抗性はやや強と判定される。また、輪斑病の接種検定では「くりたわせ」と同様に抵抗性は強と判定される(表1)。
  • 挿し木活着率は「くりたわせ」より優れ、「やぶきた」と同等である(表1)。
  • 種子島における現地実証試験圃場における幼木の生育は「くりたわせ」より優れ、一番茶の新芽の生育も良好である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 「しゅんたろう」は極早生系統であり、種子島以南の温暖な地域での栽培に適しており、「くりたわせ」の代替品種として50ha程度の普及が見込まれる。
  • 樹姿はやや開張型で新芽の特性は芽数型であるので、栽培管理のときに、芽重型になるように留意する。
  • 炭疽病と輪斑病に対する防除は基本的に不要であるが、虫害防除は必須である。

具体的データ

図1 「枕系47-18」の育成系統図

図2 「枕系47-18」の一番茶新芽

表1 「枕系47-18」の栽培加工特性(野茶研枕崎茶業研究拠点, 2008)

表2 種子島の現地実証試験圃場における「枕系47-18」と「くりたわせ」の栽培特性

その他

  • 研究課題名:生物機能等の利用による茶の病害虫防除技術の開発及び抵抗性系統の開発
  • 課題ID:214-l
  • 予算区分:基盤研究費
  • 研究期間:2006~2008 年度
  • 研究担当者:根角厚司、吉田克志、田中淳一、谷口郁也、荻野暁子