タバココナジラミのバイオタイプQは同Bと同程度のTYLCV媒介能力を有する
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要約
タバココナジラミのバイオタイプQがトマト黄化葉巻病罹病トマトを吸汁し、健全トマトに病原ウイルス(TYLCV)を媒介できるまで保毒するのに要する獲得吸汁時間は、バイオタイプBと同程度である。
- キーワード:タバココナジラミ、バイオタイプ、トマト黄化葉巻病、TYLCV、獲得吸汁時間
- 担当:野菜茶研・野菜IPM研究チーム
- 代表連絡先:電話050-3533-3863
- 区分:野菜茶業・野菜生産環境
- 分類:研究・参考
背景・ねらい
タバココナジラミはトマト黄化葉巻病の病原ウイルス(Tomato yellow leaf curl virus:TYLCV)を媒介するため、トマト生産の重要阻害要因となっており、それまで媒介の主役であったタバココナジラミのバイオタイプBに加えて、ネオニコチノイド系殺虫剤などに抵抗性を持つバイオタイプQが国内で発生している。現在、バイオタイプQは日本各地でTYLCVの媒介の主役となりつつある。タバココナジラミのバイオタイプの置き換わりがトマト黄化葉巻病の発生に及ぼす影響を解明するために、タバココナジラミのバイオタイプQとBのTYLCV獲得吸汁時間と媒介率の関係を調査し、バイオタイプ間でTYLCV媒介能力の違いの有無を明らかにする。
成果の内容・特徴
- バイオタイプQおよびBはトマト黄化葉巻病罹病トマトを吸汁するとTYLCVを獲得し、吸汁12時間後にはどちらのバイオタイプも80%以上の個体がTYLCVを獲得する(図1)。
- 獲得吸汁時間を変えたタバココナジラミによる健全トマトへのTYLCVの媒介率は、バイオタイプQでは3時間の吸汁で5%、6時間で40%であり、バイオタイプBでは6時間の吸汁で25%となる。24時間吸汁した場合の媒介率はQで40%、Bでは50%であり、同程度である(図2)。
- 各獲得吸汁時間におけるウイルス獲得率および媒介率は、バイオタイプ間で有意な差がない(フィッシャーの正確確率検定、p>0.05)。
成果の活用面・留意点
- タバココナジラミのバイオタイプQとBは同等のTYLCV媒介能力があるため、同等の要防除水準で防除する必要がある。
- 本試験で用いたタバココナジラミの系統は、バイオタイプQが宮崎県総合農業試験場より分譲された個体群(ピーマン圃場より採集)、バイオタイプBが千葉県君津市のポインセチアより採集した個体群である。
- 使用したトマト黄化葉巻病の病原ウイルス(TYLCV)は三重県木曽岬町トマト圃場より採集したもので、イスラエルマイルド系統である。
具体的データ


その他
- 研究課題名:野菜栽培における土壌微生物、天敵の機能解明と難防除病害虫抑制技術の開発
- 課題ID:214-k
- 予算区分:実用技術、基盤研究費
- 研究期間:2005~2008年度
- 研究担当者:北村登史雄、飯田博之、大西純、本多健一郎
- 発表論文等:北村ら(2009)関西病虫研報 51:81-83