温室内細霧冷房の運用支援情報を発信する換気率計算ノード

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要約

換気率計算ノードは、温室内外の熱収支から温室の換気率や細霧冷房時の噴霧量の決定に有用な情報を計算し送信する。計算に必要なセンサの計測情報は、ユビキタス環境制御システムのLANから自動的に収集する。

  • キーワード:細霧冷房、ユビキタス環境制御システム、換気率、熱収支、リアルタイム
  • 担当:野菜茶研・高収益施設野菜研究チーム
  • 代表連絡先:電話0569-72-1166
  • 区分:野菜茶業・野菜栽培生理
  • 分類:技術・参考

背景・ねらい

細霧冷房を効率的に実施するためには可能冷却温度や必要噴霧量等を知る必要があるが、これらの情報は、温室内外の熱収支から換気率を計算し、温室内の気温、湿度、換気率、蒸発散速度の相互の関係を示したVETH線図を利用して得ることができる。従来、パソコンを利用した熱収支の計算によって、噴霧システムの設計が行われてきたが、刻々と変化する温室内外の気象条件において、細霧の噴霧を合理的に実施するための情報をリアルタイムで得られるシステムは開発されていない。近年、LANによる情報通信を利用して環境制御を実施するユビキタス環境制御システム(UECS)が開発され、LANに流れる多くの情報を環境制御に反映させることが容易となった。そこで、UECSにおいて、細霧の合理的な噴霧を実施するための情報をリアルタイムで送信する装置(ノード)を開発する。

成果の内容・特徴

  • 開発したノードはUECS導入温室で利用可能である(図1)。計算に必要なセンサ情報(温室内外の気温、温室内外の湿度、屋外日射)を送信するノードが導入済みなら、LANに接続し、ブラウザを利用して定数を設定するのみで利用可能である(図2)。
  • 本ノードが送信する情報は、換気率、温室内の蒸発散速度、相対湿度を100%にするために補充が必要な蒸発量とそのときの気温、ブラウザで設定した設定気温に温室内を冷房するために補充が必要な蒸発量である。これらの情報は10秒間隔で送信される。本ノードのhttpサーバーにアクセスすると、計算値の確認ができる(図2)。
  • 本ノードが送信する細霧冷房時に補充が必要な蒸発量をもとに、細霧噴霧の運転方法の検討や、合理的な自動噴霧制御が可能である。
  • 開発したノードは遮光カーテンの開度情報も計算値に反映させることができる。

成果の活用面・留意点

  • 本ノードの計算値を利用するには、熱収支法による換気率計算の特性を理解しておく必要がある。センサの測定精度の問題などで計算上の換気率が負の値となることがあるが、そのような場合には別の基準により噴霧量を決定する必要がある。
  • 細霧噴霧装置を未導入の温室でも、細霧噴霧を実施したと仮定した時の必要な細霧の噴霧量を推定可能で,導入時の噴霧ノズル設置個数の決定などに利用できる。

具体的データ

図1 開発した換気率計算ノードとノード動作の概要

図2 開発した換気率計算ノードにブラウザからアクセスすると表示される画面

その他

  • 研究課題名:トマトを中心とした高収益施設生産のための多収、低コスト及び省力化技術の開発
  • 中課題整理番号:213a
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間: 2006~2009年度
  • 研究担当者:安場健一郎、黒崎秀仁、高市益行、大森弘美、川嶋浩樹、星岳彦(東海大)
  • 発表論文等:安場ら(2009) 植物環境工学、21(4):162-168