キュウリ単純反復配列(SSR)マーカーおよび連鎖地図

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要約

開発したキュウリSSRマーカーは、キュウリおよびメロンの種内系統間多型の検出に有用である。これらマーカーおよび公表されているSSRマーカー等を用いて作成したキュウリ連鎖地図の全長は665cMであり、245個のマーカーを含んでいる。

  • キーワード:キュウリ、SSRマーカー、連鎖地図
  • 担当:野菜茶研・野菜育種研究チーム
  • 代表連絡先:電話050-3533-3863
  • 区分:野菜茶業・野菜育種
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

汎用性の高いマーカーが座乗した連鎖地図は選抜マーカーを開発する上で非常に有用である。SSRマーカーは多型頻度が高く汎用性が高いという利点があり、多くの植物種で連鎖地図の作成に利用されている。しかし、キュウリにおいてはこれまで汎用性のある選抜マーカーはほとんど報告されていない。そこで、SSR濃縮ライブラリ(Nunome et al. 2006; Plant Mol. Biol. Report. 24: 305-312)よりキュウリSSRマーカーの開発を行い、キュウリ、メロンにおける増幅と種内系統間多型を調査する。また、インド由来系統と華北型品種との交雑後代由来組換え型自殖系統を用いて、開発したマーカーおよび公開されているキュウリとメロンのSSRマーカー等によりキュウリ連鎖地図を作成する。

成果の内容・特徴

  • 開発したキュウリSSRマーカーは101個である。キュウリ3品種・系統(CS-PMR1、「山東」、LCJ960051(Cucumis sativus var. hardwickii))ではこれらはすべて増幅し、91マーカーが系統間多型を示す。メロン3品種・系統(AR 5、「春系3号」、「メロン中間母本農4号」)では69個が増幅し、41マーカーが系統間多型を示す。
  • インド由来のキュウリCS-PMR1と華北型キュウリ「山東」との交雑F2に由来する組換え型自殖系統111系統を用いて作成した連鎖地図は全長665cMであり、基本染色体数と同じ7連鎖群より構成される(図1)。本地図は開発した51個のSSRマーカーを含む241個のSSRマーカーおよび4個のSCAR(Sequence Characterized Amplified Region)マーカー、計245マーカーが座乗する。これらマーカーのうち既報のキュウリ高密度連鎖地図(Ren et al. 2009; PLoS ONE 4(6)e5795)と共通するマーカーは、連鎖群当たり5~27個、計106個である。

成果の活用面・留意点

  • 本連鎖地図は、多型性に富み汎用性の高いSSRマーカーを用いて作成されていることから、異なる解析集団においても効率的な連鎖地図作成および選抜マーカー開発に利用できる。
  • 本地図の各連鎖群に座乗する共通マーカーにより、Ren et al. (2009)の地図との比較が可能である。
  • キュウリ連鎖地図および座乗するマーカーに関する情報は、野菜茶研のデータベース「VegMarks」で公開している。(http://vegmarks.nivot.affrc.go.jp/VegMarks/jsp/index_j.jsp)

具体的データ

図1 キュウリ連鎖地図

その他

  • 研究課題名:病虫害抵抗性、省力・機械化適性、良食味等を有する野菜品種の育成
  • 中課題整理番号:211j.1
  • 予算区分:所内プロ(キュウリゲノム)、交付金プロ(園芸マーカー)
  • 研究期間:2007~2008年度
  • 研究担当者:吹野伸子、吉岡洋輔、久保中央(京都府立大学)、平井正志(京都府立大学)、杉山充啓、坂田好輝、松元哲
  • 発表論文等:Fukino N. et al. (2008) Breed. Sci. 58:475-483