IgE産生を抑制する茶葉中加水分解型タンニン類

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要約

加水分解型タンニンであるテオガリンおよび「茶中間母本農6号」に見出される1,2-di-O-galloyl-4,6-O-(S)-hexahydroxydiphenoyl-β-D-glucopyranose(G-ストリクチニン)は、ヒト末梢血リンパ球からのIgE産生を抑制する。

  • キーワード:チャ、テオガリン、G-ストリクチニン、IgE産生、茶中間母本農6号
  • 担当:野菜茶研・野菜・茶機能性研究チーム
  • 区分:野菜茶業・茶業、食品
  • 分類:研究・参考

背景・ねらい

アレルギーは世界中で増加しており、今後、さらに食品成分による予防が必要になる疾病の1つである。過去に茶葉中加水分解型タンニンであるストリクチニンによるIgE産生抑制(抗アレルギー作用)を認めており、茶葉中の新たなIgE産生抑制物質を見出すため、保有するチャ品種に加水分解型タンニンを探索し、その抗アレルギー活性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 茶葉中加水分解型タンニン類には、既知のストリクチニン以外にテオガリンおよび1,2-di-O-galloyl-4,6-O-(S)-hexahydroxydiphenoyl-β-D-glucopyranose(G-ストリクチニン)が存在する(図1)。G-ストリクチニンは、「茶中間母本農6号」に高含量で存在し、他の9品種には全く見出されない(表1)。
  • ヒト末梢血リンパ球をIL-4およびCD40抗体で刺激してB細胞のクラススイッチ誘導を行い、G-ストリクチニン、テオガリン、ストリクチニンを添加すると、テオガリンは0.1nM以上、G-ストリクチニン、ストリクチニンは 1nM以上でIgE産生を抑制する(図2)。

成果の活用面・留意点

  • この抗アレルギー作用は、細胞試験により得られた成果であり、動物試験、ヒト介入試験を行ってさらに検討する必要がある。

具体的データ

表1 チャ品種(一番茶)の化学成分値(g/100g、乾物重)

図1 茶葉中加水分解型タンニンの化学構造式

図2 ヒト末梢血リンパ球抗体産生に及ぼす加水分解型タンニンの影響

その他

  • 研究課題名:動物、ヒトを用いた薬理効果試験、生体吸収性・安定性・成分特性等の解明による茶葉中抗アレルギー成分、抗ストレス成分の飲食品、医薬部外品への応用
  • 中課題整理番号:312b
  • 予算区分:基盤
  • 研究期間:2004~2009年度
  • 研究担当者:山本(前田)万里、本間大樹(アサヒ飲料)、田頭素行(アサヒビール)、根角厚司、荻野暁子、物部真奈美、神田智正(アサヒビール)
  • 発表論文等:Honma D. et al.(2010) J. Sci. Food Agric. 90:168-174