分散型で携帯型端末に対応した製茶制御システム
要約
小型コンピュータを用いて個々の製茶工程制御を分散化することにより、機械構成の変更等への対応が容易になる。また、全体を一般的なwebブラウザ上で動作するプログラムで管理・制御することにより、携帯型端末等から製茶工程の管理が可能となる。
- キーワード:製茶、工程制御、ユビキタスコンピューティング、マイクロサーバー
- 担当:野菜茶研・茶生産省力技術研究チーム
- 代表連絡先:電話0547-45-4101
- 区分:野菜茶業・茶業
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
近年、製茶工程の制御技術が発展し、製茶工場のFA化が進み、一定の省力化が達成されているが、それらの多くは柔軟性に乏しく、逆にそのためのコストが上昇する傾向にある。そこで、製茶の工程制御のさらなる省力化、低コスト化を目指して、近年発展が著しい、ユビキタスコンピューティング技術、機器組み込み用小型コンピュータ技術、ネットワーク技術を活用し、パーソナルコンピュータや携帯型端末等からも制御可能な新たなシステムを構築する。
成果の内容・特徴
- 各製茶工程の制御プログラムを、小型コンピュータ(マイクロサーバー)に移植し、これを全ての製茶機械に組み込む(図1)。これにより、各製茶機械は外部のプログラムに頼ることなく、自律的に工程を制御することが可能となり、製茶工場における機械の構成の変更に柔軟に対応することができる。
- 各マイクロサーバーは、OSとしてLinuxを利用し、C言語により開発したプログラムにより、各種センサで計測した製茶状態を記録するとともに、ユーザーが指定した原葉の特性に応じて製茶機械を制御する。さらに、HTTPサーバーを稼動させることにより、ネットワークを利用して、外部からのHTMLリクエストに応じて、現在の製茶機械の計測値の出力、原葉条件の入力等が可能である。これらのデータの通信には、データの汎用性を考慮して、XML(Extensible Markup Language)を用いる。
- 製茶を円滑に行うために、ユーザーからの指示の伝達や茶葉の移動等、工程全体を制御・管理するための全体制御プログラムを作成する。全体制御プログラムは、webブラウザ上で動作するJavaScript言語により作成されている。システム全体としては、全体制御プログラムが各マイクロサーバーと情報交換をしながら、製茶を行うシステムである(図2)。
- 全体制御プログラムをJavaScriptで記述したことにより、本プログラムが動作するwebブラウザが搭載された機器であれば、その種類を選ばず制御を行うことができる。iPad等の携帯型端末で動作させれば、どこからでもプロセス監視、制御が可能であり(図3)、低コストで省力化が可能なシステムである。
成果の活用面・留意点
- 製茶機械には温度センサをはじめ様々なセンサが装備されているが、その種類は機械やメーカーごとに異なるため、マイクロサーバーとの接続には個別の対応が必要である。
- 全体制御プログラムは、Internet Explorer、Firefox、Safari、Google Chromeで稼動することを確認している。
具体的データ



その他
- 研究課題名:生体情報及び高度センシング技術による茶の省力栽培・加工技術の開発
- 中課題整理番号:223b
- 予算区分:基盤
- 研究期間:2009~2010年度
- 研究担当者:山口優一、水上裕造、荒木琢也、角川修