日本産及び外国産の紅茶の含水率

要約

日本産及び外国産の紅茶の含水率は7%前後で、日本の緑茶の基準である5%よりも高く、ばらつきが大きい。紅茶の生産国によって含水率に差は認められない。CTC製法による紅茶の含水率はオーソドックス製法による紅茶の含水率より低い。

  • キーワード:チャ、紅茶、含水率
  • 担当:果樹・茶・茶
  • 代表連絡先:電話 050-3533-3861
  • 研究所名:野菜茶業研究所・茶業研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

機能性利用で導入された紅茶用品種「べにふうき」の用途の変更、二番茶・三番茶の価格低迷によって、国産紅茶の生産量が増えている。日本の煎茶の場合、仕上げ前の荒茶の含水率は5%前後が適切で、高すぎても低すぎても早期劣化の原因となる。紅茶の含水率についてははほとんど報告がなく、市販の紅茶の含水率や適正な紅茶の含水率は明らかにされていない。そこで生産国が異なる紅茶の含水率を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 生産国及び茶種を要因とする分散分析において,F検定の結果1%水準で有意であり、茶種の違いによって含水率に差が認められる(表1、2)。
  • 日本産緑茶の含水率の平均値は4.75%で、ばらつきが小さい。一方、日本産及び外国産紅茶の含水率の平均値は7%前後で、日本産緑茶の含水率の平均値より高く、10%を超えるものもある。紅茶の含水率の平均値について生産国による差は認められない。生産国別の紅茶の含水率のばらつきは、日本産緑茶の含水率のばらつきより大きい(表3)。
  • CTC製法の紅茶はオーソドックス製法の紅茶より含水率が低い(t=2.46、t検定の結果、5%水準で有意、表4)。

成果の活用面・留意点

  • 試料は国内外からの提供がほとんどで、その他に国内外での購入、野菜茶業研究所(金谷)で製造した紅茶を含む。試料約5gを秤量瓶に入れて、105°Cで48時間加熱し、加熱前と加熱後の重量差から湿量基準の含水率を求めた。
  • ほとんどの紅茶の水分活性は0.6以下で、微生物が繁殖できない水準である。
  • 含水率が極端に高く、10%を超える場合は輸送中にカビが生える場合もある。
  • 紅茶製造の乾燥の工程における指標となる。

具体的データ

表1~4

その他

  • 中課題名:多用なニーズに対応する安定多収な茶品種の育成と安定生産技術の開発
  • 中課題整理番号:142f0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2011~2013年度
  • 研究担当者:池田奈実子
  • 発表論文等:池田(2014)野菜茶研研報 13:43-47