新芽の含水率と中性デタージェント繊維含有量による一番茶摘採適期の判定

要約

摘採適期のチャ新芽の中性デタージェント繊維含有量は19%、含水率は80%である。このうち、中性デタージェント繊維含有量は、煎茶に加工する場合の摘採適期の指標として用いることができる。

  • キーワード:チャ、中性デタージェント繊維、含水率、摘採適期、移動平均
  • 担当:果樹・茶・茶
  • 代表連絡先:電話029-838-6543
  • 研究所名:野菜茶業研究所・茶業研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

チャの収穫部位である新芽は収穫期間中も日々成育するため、摘採日が遅くなるほど収量が増加する。したがって収穫期の概念を統一しなければ、チャ品種の品種間差異を明らかにすることはできない。一般にチャの摘採適期の判定は手ざわりで行われる。客観的な指標としては出開度70%が用いられるが、幼木期や中切り直後の場合は適用できない場合がある。このような場合に出開度と併用できるような、チャ新芽中の化学成分含有量による摘採適期の判定法の開発を行う。

成果の内容・特徴

  • チャ新芽の中性デタージェント繊維の含有量は、摘採日が遅いほど高い。摘採適期の前後で増加量が大きい。摘採適期の中性デタージェント繊維含有量は19%前後である(図1)。
  • チャ新芽中の含水率(降雨の影響を考慮し、前後1日を含めた移動平均で表示)は、新芽が未熟な時は低く、成熟にともなって高まる。摘採適期付近の含水率は80%前後である。摘採適期を過ぎると新芽の含水率は減少する(図2)。
  • 切り戻し翌年の2013年では、摘採適期の出開度は37.5~47.7%と、3品種とも小さい(表1)が、しかし新芽の中性デタージェント繊維含有量は3ヶ年を通じてほぼ一定である。
  • チャ新芽の摘採適期の中性デタージェント繊維含有量は19%、含水率は80%である。このうち、中性デタージェント繊維含有量は、煎茶に加工する場合の摘採適期の指標として用いることができる。

成果の活用面・留意点

  • 同一茶園で植栽された主要品種の「やぶきた」、中晩生品種の「りょうふう」、晩生の品種「ふうしゅん」を供試し、2012年5月21日に中切りを行った。新芽の採取は、摘採面に達したものを基部から全芽摘みとした。
  • 中性デタージェント繊維含有量の分析は近赤外分光分析機(DICKEY-join Near Infrared Analyzer)で行った。検量線は煎茶用の検量線を用いた。

具体的データ

その他

  • 中課題名:多様なニーズに対応する安定多収な茶品種の育成と安定生産技術の開発
  • 中課題整理番号:142f0
  • 予算区分:交付金
  • 研究期間:2012~2015年度
  • 研究担当者:池田奈実子、水野直美
  • 発表論文等:池田ら(2016)野菜茶研研報、印刷中