台木用ピーマン品種を用いた接木栽培で可食部カドミウム濃度が低減する

要約

ピーマン類を高カドミウム土壌(2.1 mg/kg)で栽培すると、可食部カドミウム濃度には品種間差があり、国際基準値(0.05 mg/kg)を超える場合があるが、台木用ピーマン品種「台助」に接木すると、可食部カドミウム濃度が低下する。

  • キーワード:ピーマン類、可食部カドミウム濃度、品種間差異、台木用品種、接木
  • 担当:食品安全信頼・カドミウムリスク低減
  • 代表連絡先:電話 019-643-3464
  • 研究所名:野菜茶業研究所・野菜病害虫・品質研究領域
  • 分類:研究成果情報

背景・ねらい

農林水産省が農地を対象に行った調査によると、日本の畑土壌(深さ0-15 cm)の平均カドミウム濃度は0.18 mg/kgである。日本の果菜類の可食部カドミウム濃度は栽培地の土壌環境によっては国際的な基準値である0.05 mg/kgを超える可能性が危惧されるが、低減技術に関する情報は非常に少ない。そこで、ピーマン類について、高カドミウム汚染土壌(2.1 mg/kg)における自根栽培での可食部カドミウム濃度と品種間差の有無をあわせて調査する。また、接木栽培による可食部カドミウム濃度低減の可能性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • 高カドミウム土壌(2.1 mg/kg)で自根栽培を行うと、ピーマン果実のカドミウム濃度に品種間差があり、一部の品種で国際基準値を上回る(図1)。
  • 台木用ピーマン品種についても、地上部カドミウム濃度に品種間差があり、「台助」はカドミウム低吸収性台木品種である(図2)。
  • 「台助」を台木にして接木栽培を行うと、可食部のカドミウム濃度が低減する(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 日本の標準的なカドミウム濃度の土壌(0.2 mg/kg以下)では国際基準値を上回らないので、過度な心配は禁物である。
  • 本知見は2.1 mg/kgの高カドミウム土壌でのピーマン類のカドミウム濃度低減技術として有効である。

具体的データ

図1

その他

  • 中課題名:農産物の生産段階におけるカドミウムのリスク低減技術の開発
  • 中課題整理番号:180b0
  • 予算区分:交付金、委託プロ(食の安全・動物衛生プロ)
  • 研究期間:2011~2015年度
  • 研究担当者:森川クラウジオ健治
  • 発表論文等:Morikawa C.K. (2016) Hort. J. 86(1):1-7