土中におけるジオテキスタイルの排水性能試験装置の開発

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要約

近年、ジオテキスタイルを使った盛土排水工法が、砂利による方法に変わって多く利用されるようになってきた。土中におけるジオテキスタイルの排水特性の評価手法として排水試験方法を開発し、5種類のジオテキスタイルに適用した。

  • 担当:四国農業試験場・地域基盤研究部・基盤整備研究室
  • 連絡先:0877-62-0800
  • 部会名:作業技術・農業工学
  • 専門:農地整備
  • 対象:農業工学(設計技術)
  • 分類:研究

背景・ねらい

近年、数多くのジオテキスタイルを利用した盛土や地盤改良を行うが、その場合ジオテキスタイルを使って土中の過剰水の排除法が有効な手段として多く行われている。したがって、種々のジオテキスタイルの土中の排水特性が明らかになっているほうが望ましい。このような状態を考慮し、土中におけるジオテキスタイルの排水特性を測定する拭験装置を開発し、5種類のジオテキスタイルについて試験を行い排水特性を明らかにした。なお、このようなジオテキスタイルの試験法は行われていない。

成果の内容・特徴

  • 実際の盛土工事を想定し、図-1に示すような試験装置を開発した。流入水量を水道メータで、ジオテキスタイル及び下部排水量を転倒マス型流量計で、盛土中の水分変化をテンションメータで測定する。流入過剰水をオーバーフローさせ、一定の水位を保つ。その結果、排水量を面積・時間当りで示した単位排水性能、ジオテキスタイルによる流入量と材料排水量の比、流入終了後から排水終了までの時間等でジオテキスタイルの排水特性を示す。
  • 5種類のジオテキスタイルと砂利の試験結果より、スパンボンド以外のジオテキスタイルは砂利より単位排水性能は約10倍大きく、また他の試験値からも砂利より排水特性が優れていることが明らかになった(表-1)。
  • 排水試験中の盛土中の水分は排水特性が良いジオテキスタイルでは水分張力が0に近づくと排水が始まる。この時間が排水特性が良い場合に給水開始してから約30分後と早くなった(図-2参照)。

成果の活用面・留意点

試験に使用する土の透水性が小さい場合は試験に時間がかかる.また、土の締め固めは実際の盛土に近い状態で試験すること。

具体的データ

図1.土中におけるジオテキスタイル排水試験装置

 

表1.土中におけるジオテキスタイル排水性能試験

 

図2.排水試験中の盛土水分の変化

 

その他

  • 研究課題名:新素材による斜面安定化工法の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成5年度(平成2~5年)
  • 研究担当者:山下恒雄、吉迫宏
  • 発表論文等:土中におけるジオテキスタイルの排水拭験、28回土質工学研究発表会平成5年度発表講演集、2分冊の2、1993.6