新配付系統 四国裸95号(モチ性)

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要約

四国裸95号は裸麦の新規用途の開拓、食味の向上を目的に育成したモチ性裸麦紫色粒である。早生・短稈・強稈の穂数型の系統であり、子実収量は多肥で高く、精麦適性はやや低い。縞萎縮病に強く、うどんこ病に弱い。

  • 担当:四国農業試験場・作物開発部・畑作物育種研究室
  • 連絡先:0877-62-0800
  • 部会名:作物生産(冬作物)
  • 専門:育種
  • 対象:麦類
  • 分類:研究

背景・ねらい

裸麦の用途は味噌用、主食用等の粒食利用が中心であるが、近年新しい製粉法の開発もあって各種の粉食利用が試みられ、健康食品として需要の拡大が図られている。特にモチ性の品種については、その澱粉特性を利用してめん類や和菓子類へ利用され、また一部では他との違いを強調するために紫色品種の育成を求められている。四国裸95号は、晩生・長稈の在来のモチ性品種に比べて栽培性が大幅に改良されており、紫色粒のモチ性系統として平成5年度(F9)より西日本の裸麦生産県の奨励品種決定調査用として配付し、地方的適否を検討する。

成果の内容・特徴

四国裸95号は昭和61年度に四国農業試験場においてモチ性・早生・多収・耐倒伏性を育種目標にセンボンハダカ//センボンハダカ/モチ麦Dの交配を行い、B1F2種子でのモチ性選抜と世代促進による集団育種法によって育成した系統である。この系統の特徴は以下のとおりである。

  • モチ性である。アミロース含有率は米澤モチ2号よりやや高い。
  • 出穂期はセンボンハダカよりやや遅く、成熟期は同程度の早生である。
  • 稈長、穂長はセンボンハダカよりやや短く、耐倒伏性、中折れ耐性は同程度の強稈である。
  • 穂数はセンボンハダカよりやや少ない程度の穂数型である。
  • 子実重は標肥ではセンボンハダカより低いが、多肥では同程度である。
  • 千粒重はセンボンハダカよりやや大きく、粒色が濃紫色である。
  • 外観品質はセンボンハダカより高い。精麦通性はウルチ性品種に比べれば低いが、モチ性品種の中では高いほうである。
  • 耐病性は縞萎縮病に強く、うどんこ病に弱い。
  • 播性程度はV、穂発芽性は難である。

成果の活用面・留意点

西日本の裸麦生産県における奨励品種決定調査の供試材料として配付する。試験の結果はモチ性の裸麦として評価する必要がある。

具体的データ

図1.生育調査(標肥栽培)

その他

  • 研究課題名:裸麦のアミノ酸組成とアミロース含有率の育種的改善による新品種の育成
  • 予算区分:水田畑作、高品質輪作、経常
  • 研究期間;平成4年度(昭和61~平成4年)
  • 研究担当者:石川直幸、伊藤昌光、土門英司
  • 発表論文等:なし