定置式細断物サイレージ調整システム

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

多様な飼料作物細断収穫物小型ロールベールに梱包し、フィルムで密封してサイレージ調製を行う定置式の調製システムを開発した。本システムにより、細断収穫物を精度よく、取り扱いやすい梱包サイレージに調製できる。

  • 担当:四国農業試験場・地域基盤研究部・機械化研究室
  • 連絡先:0877-62-0800
  • 部会名:作業技術
  • 専門:機械
  • 対象:雑穀類
  • 分類:研究

背景・ねらい

固定サイロによるサイレージ調製では、サイロの設置に多額の費用がかかり、また、サイレージの取り出しに多くの労力がかかることから、固定サイロの要らないサイレージ調製技術の開発が強く要望されている。このため、多様な飼料作物の細断収穫物を小型ロールベールに梱包し、さらにこのベールをフィルムで密封してサイレージに調製する定置式のサイレージシステムを開発した。

成果の内容・特徴

  • 開発した細断物サイレージシステムは、定量供給装置、定置式梱包装置、小型ベールラッパから構成される定置式のサイレージ調製装置である。荷受けホッパに投入された細断収穫物は、ホッパ下部のスラットコンベアおよび2台のベルトコンベアにより定置式梱包装置へ運ばれる。定置式梱包装置では、送られてくる細断物を小型ロールベールに成形し、ベールが設定した質量になると細断物の供給を自動停止する。細断物の梱包ロスを少なくするため、手動で長わら2kgを梱包装置に供給してベールの周囲に巻き付けた後、トワイン自動結束して機体後方に放出する。放出されたベールは、小型ベールラッパによりフィルムを巻き付けて密封する(図1、表1)。
  • 本システムは、細断された多様な飼料作物を取り扱いやすい梱包サイレージに調製することができる。また、小型のロールベールであるためハンドリングが容易であり、しかも切断サイレージであるため給与作業が楽にできる特徴がある。
  • 本システムにより、細断収穫されたトウモロコシを梱包ロスが4%以下と精度良く、質量45kg、密度130kgDM/m3と高密度に密封できる。また、本システムによる処理量は、二人の組作業で1.1t/hである(表2)。

成果の活用面・留意点

直刈りのトウモロコシや予乾した野菜残さなどの切断サイレージ調製装置として使用でき、流通をねらいとした取り扱いやすい梱包サイレージ調製に活用できる。材料水分は、中水分(60~72%)が望ましい。

具体的データ

図1.定置式細断物サイレージ調整システムの概略図

 

 

表1.定置式細断物サイレージ調整システムの主要諸元 表2.作業精度・作業能率

 

その他

  • 研究課題名:中山間転換畑における広域流通をねらいとして小型ロールベールサイレージ調製技術の確立
  • 予算区分:高品質輪作
  • 研究期間:平成7年度(平成6~7年)