ヤーコンの塊根及び塊茎の肥大生長

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要約

ヤーコン塊根肥大様式木部肥大型である。塊根は日長の影響を受けずに肥大し、塊根重は地上部の大きさと相関がある。塊茎は9月以降形成され、短日により肥大生長が促進される。

  • 担当:四国農業試験場・作物開発部・資源作物研究室
  • 連絡先:0877-62-0800
  • 部会名:水田・畑作
  • 専門:生理
  • 対象:いも類
  • 分類:研究

背景・ねらい

ヤーコン(Polymnia sonchifolia)は、地下部にフラクトオリゴ糖を多量に含む塊根と、繁殖にのみ利用される塊茎を形成する。フラクトオリゴ糖は、その機能性が注目されており、ヤーコンは天然フラクトオリゴ糖を多く含む食品素材として、またフラクトオリゴ糖の原料作物として期待され、各地で試験栽培されている。ヤーコンの普及には高収量・高品質塊根の生産技術の開発が重要であり、そのための生長様式等ヤーコンの特性解明は急を要する。そこで、一般的に国内で試験栽培に供されているペルーA群を用い、ヤーコンの塊根及び塊茎の肥大様式を明らかにした。

成果の内容・特徴

  • 塊根の肥大様式は、維管束木部の導管及び柔細胞が増殖・肥大生長する木部肥大型(図1)で、同じ木部肥大型のカンショ及びダイコンと比較すると、1ヤーコンは髄部が残っているのに比べ、ダイコン及びカンショは髄部が小さいかもしくははっきりと存在しない、2ヤーコン及びダイコンは、木部が活発に細胞分裂し導管群と柔組織を形成するのに対し、カンショは3次形成層を形成し活発な細胞分裂が行われる等、塊根の構造及び肥大様式が異なる。
  • 塊根重及び塊根数は地上部の生育と共に増加し、地上部の生長は10月以降停止するが、塊根重は急速に増加する。一方、塊茎は9月以降形成され、その後急速に増加する(図2)。
  • 塊根収量と地上部重等とは相関が高い(表1)。
  • 塊根の肥大生長は短日の影響をほとんど受けないが、塊茎は短日処理(11時間日長)により肥大生長が促進される(図3)。

成果の活用面・留意点

  • 本試験で用いた系統は、各地で試験栽培されているペルーA群で、他の系統群では、塊根収量の増加の様式は異なる可能性がある。
  • 塊根からは萌芽しないため、塊根は種苗に利用できない。

具体的データ

図1.ヤーコンの塊根の最大肥大部における各部位の厚さ図2.ヤーコンの生育期間中の地上部重、塊茎重及び塊根重(株当たり)

 

 

図3.短日、長日及び自然下における塊根及び塊茎重の変化(株当たり)表1.ヤーコンの地上部の諸形質と塊茎重及び塊根重との相関

 

その他

  • 研究課題名:ヤーコンの品質特性の解明
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(平成5~7年)
  • 発表論文等:
    • ヤーコン(Polymnia sonchifolia)の定植時期による生育特性、日作紀、62(別2):173-174,1993.
    • ヤーコン(Polymnia sonchifolia)の塊根組織の肥大生長、日作紀、64(別1):182-183,1995.
    • Changes in the carbohydrate content of tubers and tuberous roots of yacon (Polymnia sonchifolia),Proc. of 2nd Asian Crop Sci. Conf. (inPress)
    • ヤーコン(Polymnia sonchifolia)の塊茎及び塊根の生長に及ぼす日長要因の影響、日作紀、64(別2):191-192,1995.