水稲巨大胚系統「中国137号」の育成

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要約

「中国137号」は温暖地西部地域では中生の晩に属する粳種である。収量性は標準品種並であるが、新形質として巨大胚を持っている。

  • 担当:中国農業試験場・作物開発部・稲育種研究室
  • 連絡先:0849-23-4100
  • 部会名:作物生産
  • 専門:育種
  • 対象:稲類
  • 分類:研究

背景・ねらい

米の需要拡大を図るために、食の多様化、米の新規用途の開発を目標として、従来の米にない新形質(米の形、大きさ、色、香り、澱粉、蛋白質、脂質等)を持った特徴的な系統や品種の育成が行われてきた。その一つとして、温暖地西部地域に適する新形質として、巨大胚を持った系統の育成を行う。

成果の内容・特徴

  • 中国137号は巨大胚系統/アケノホシの後代から育成された中長稈極穂重型の系統で、熟期は温暖地西部では中生の晩に属し、収量性は標準品種並であるが、巨大胚を持っている(表1、表2)。
  • 玄米の外観品質、食味は標準品種におとる。葉身の毛耳、頴のふ毛は極稀であり、無毛性である(表1)。

成果の活用面・留意点

米の胚には、γ-アミノ酪酸(GABA)が含まれており、GABAは血圧を下げる機能があることが知られている。巨大胚系統として、機能性食品の開発素材としての利用が期待される。

脱粒性がやや易なので刈取に注意が必要である。

発芽が不揃いなので、播種前の処理は十分に行う。

機能性食品の素材として利用技術の開発が必要である。

具体的データ

表1.特性一覧

 

表2.胚の重量(100粒あたり重量)

 

その他

  • 研究課題名:温暖地西部向き新形質・超多収品種の育成
  • 予算区分:超多収・新形質・経常
  • 研究機関:平成7年度(昭和54~平成7年)
  • 研究担当者:中川宣興、坂井真、石井卓朗、飯田修一、前田英郎、星野孝文、岡本正弘、篠田治窮
  • 発表論文等:種苗登録出願中