使用済みロックウールの暗きょ疎水材への利用

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要約

使用済みロックウールは、室内試験による透水性、トラクターを使った踏圧試験に対する耐久性の面で優れており、暗きょ疎水材として再利用が可能である。

  • 担当:中国農業試験場・生産環境部・基盤整備研究室
  • 連結先:0849-23-4100
  • 部会名:近畿中国(生産環境(土肥))、農業工学
  • 専門:農地整備
  • 対象:農業工学
  • 分類:研究

背景・ねらい

ここ数年の間に急速に普及してきた養液栽培の一種であるロックウール栽培は、今後もバラ、トマトなどを中心に、栽培面積の増加が見込まれている。使用済みロックウールは、廃棄物の基準としては不燃物に分類され、栽培農家はその処分に困っているのが現状である。このため、環境保全型農業における使用済み農業用資材の再利用の一環として、使用済みロックウールの暗きょ疎水材としての利用の可能性について検討した。

成果の内容・特徴

  • バラ栽培農家から使用済みロックウールを入手し根を取り除いた(写真1)。その後十分水に浸し室内にて飽和透水係数を測定した。施工状況によってロックウールの締め固め程度が異なることが想定されるので、3段階の乾燥密度(γd)に対して試験を行った。使用済みロックウールの透水係数は、もみがら(10-1~-2cm/s)と同等程度の値である(図1)。
  • 泥水中での埋設施工、こね返し土の埋め戻しなどにより、ロックウールヘの土砂の付着混入が想定されるので、γd=0.195g/cm3の供試体(100cc円筒)に対して土砂を混入し透水性の変化を調べた。混入土砂量は、乾土重で9.83g、19.66gの2ケースとし、ロックウールと土砂を各々3層、計6層の互層とした。土砂混入に伴う透水性の低下は、1/3~1/2程度である(図1)。
  • ロックウールを(図2)のとおり埋設(充填時の乾燥密度γd=0.195g/cm3)し、トラクター走行・踏圧による透水性の低下を調べた。両ピットヘは、ロックウール以外からの水の流入出がないよう底面等に水に浸した粘土を塗りつけるなどした。使用したトラクターは30psである。透水係数は、Dupuitの長方形断面の浸透式により求めた(図3)。踏圧回数が増加するにつれて透水係数は漸次低下するが、20往復目にあっても10-2オーダーを維持しており、トラクター走行・踏圧に対する耐久性に優れている。

成果の活用面・留意点

使用済みロックウールを暗きょ疎水材として再利用する場合の有用な知見となる。本成果の実用化にあたっては、今後施工方法、耐用年数などについて明らかにすることが必要である。なお、再利用にあたっては、前栽培作物の病害対策として、次亜塩素酸ナトリウムなどにより事前に消毒しておくことが望ましい。

具体的データ

写真-1.使用済みのロックウール 図1.室内透水試験

 

図2.ロックウール埋設図 図3.トラクター走行に伴う透水性の変化

 

その他

  • 研究課題名:暗きょ機能の維持回復技術の開発
  • 予算区分:経常
  • 研究期間:平成7年度(平成6~10年)
  • 研究担当者:細川雅敏、川本治、中尾誠司、友正達美
  • 発表論文等:使用済みロックウールの補助暗きょ疎水材としての適用、農土学会中四国支部講要集、1995.