大豆モヤシの抗酸化性に対する光照射の影響

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要約

大豆モヤシを用いて光照射による抗酸化活性への影響を測定した。大豆の抗酸化活性は発芽初期で光照射によって増大するが、発芽後長時間たつとその影響は認められない。活性はクロロフィル量やトコフェロール量と関係なかった。

  • 担当:中国農業試験場・地域基盤研究部・品質特性研究室
  • 連絡先:0849-23-4100
  • 部会名:近畿中国(流通利用)
  • 専門:食品品質
  • 対象:豆類
  • 分類:研究

背景・ねらい

食品中の抗酸化性成分は、食品の保存性を高める成分としてだけでなく、機能性食品の素材として期待されている。食品の抗酸化活性については、多くの研究機関で測定され、比較されているが、野菜や果実中の抗酸化性成分の主体は、カロチン類、フラボノイド類、トコフェロール類、クロロフィル、フェノール性化合物である。植物中で、これらの物質の含量は通常、光照射の量や波長によって大きく変動することが知られている。にもかかわらず、野菜や果実の抗酸化活性について、測定前の保存・栽培条件について明記されたデータは皆無に近い。そこで今回大豆モヤシを用い、その脂溶性画分の抗酸化性が光照射によって変動を起こすかどうか検討した。

成果の内容・特徴

  • メタノール抽出物中の酢酸エチル可溶画分の抗酸化活性を、脂溶性画分抗酸化活性とした。光は蛍光灯を用い、強い光(5,000Lux.)、弱い光(布による遮光,120Lux.)の2種を照射した(図1)。
  • 大豆モヤシ脂溶性画分抗酸化活性の主たる原因物質と考えられる、クロロフィルおよびトコフェロールの含量を測定した(図2、表1)。
    クロロフィル含量は光照射の量に比例して変動したが、トコフェロール含量に光照射の影響は無い。
  • 発芽初期では、光照射によって抗酸化活性が上昇する傾向が有る(図3)。発芽後期では光照射の影響は無い。
    発芽後期、大豆モヤシの抗酸化活性には、クロロフィルとトコフェロール以外の物質が係わっている可能性が高い。

成果の活用面・留意面

光照射の効果が出る光量には閾値があり、50Lux.程度の弱い光の照射では、照射しない時(暗所保存)と同様の抗酸化活性しか確認されない。

具体的データ

図1.大豆モヤシに対する光照射の方法。 図2.大豆モヤシのクロロフィル含量湿重量あたり。

 

表1.総トコフェロール量。

 

図3.大豆モヤシ脂溶性画分の抗酸化性湿重量あたり。

 

その他

  • 研究課題名:農産物中に含まれる保健機能牲成分の検索および構造安定性に関する基礎的研究
  • 予算区分:経常、重点基礎研究
  • 研究期間:平成7年度(平成6~7年)
  • 研究担当者:三技貴代、堀野俊郎、小野田明彦
  • 発表論文等:Effectoflightonantioxidantactivityofsoybeansprouts:”InternationalConferenceonfoodfactors:chemistryandprevention”Abstracts,P.144、1995.