ビタミンAの制限が黒毛和種去勢牛の成長ホルモン分泌反応と産肉性に及ぼす影響

※アーカイブの成果情報は、発表されてから年数が経っており、情報が古くなっております。
同一分野の研究については、なるべく新しい情報を検索ください。

要約

ビタミンAを制限して肥育すると成長ホルモン放出因子の投与に対する血漿中成長ホルモンの分泌反応は小さくなる。ビタミンAを制限すると枝肉切開面のロース芯面積が大きくなる。

  • 担当: 中国農業試験場・畜産部・産肉利用研究室
  • 連絡先:08548-2-0144
  • 部会名:畜産
  • 専門:飼育管理
  • 対象:肉用牛
  • 分類:研究

背景・ねらい

黒毛和種肥育においてビタミンA給与量を制限した肥育が広く行われている。ビタミンA給与量の制限は、飼料摂取量、増体、枝肉格付およ び成長ホルモン分泌に影響を与えると言われているが、産肉性に関する報告はほとんどない。そこでビタミンA給与量の制限が枝肉構成や牛肉品質に及ぼす影響 を検討する。

成果の内容・特徴

  • 17カ月間肥育すると、粗飼料が稲ワラの場合、血漿中のビタミンA濃度が低下する傾向がある(図1)。
  • ビタミンAを制限すると成長ホルモン放出因子(GRF)の負荷(体重100kg当たり20μg)に対する成長ホルモン(GH)の分泌反応が小さくなる傾向がある(図2)。
  • ビタミンAを制限するとロース芯面積、バラ厚、歩留基準値は大きくなる傾向を示す(表)。
  • ビタミンAを制限すると枝肉中の赤肉割合は増加し脂肪割合は低下する傾向を示すが、骨割合にはビタミンAを制限した影響はみられない(表)。
  • BMS,BCS,胸最長筋の筋肉内脂肪含量,色彩色差計で測定したL* ,a* ,b* 値にはビタミンAを制限した影響がみられない(表)。

成果の活用面・留意点

  • ビタミンAを制限した肥育を行う場合の基礎資料となる。
  • 本成果では、制限区と給与区の濃厚飼料はTDN 74.8%、DCP 9.2%と同じになるように調製し、給与区の濃厚飼料に1kg当たり 4800IUのビタミンAを添加した。制限区、給与区ともに濃厚飼料と稲ワラを自由採食させた。11カ月間肥育した供試牛8頭の肥育開始時の平均月齢は 10.1カ月、平均体重は315kgであった。17カ月間肥育した供試牛8頭の肥育開始時の平均月齢は15.1カ月、平均体重は466kgであった。
  • 11カ月肥育では、供試牛の種雄牛は同一であった。17カ月肥育では、種雄牛の構成が制限区と給与区で同じになるよう供試牛を配置した。

具体的データ

図1 肥育に伴う血漿中ビタミンA濃度の変化

図2 GRF負荷による血漿中GHの変化

表1 飼料中のビタミンA含量が屠肉性に及ぼす影響

その他

  • 研究課題名:肥育牛の産肉機構におよぼす脂質代謝の影響
  • 予算区分 :経常
  • 研究期間 :平成8年度(平成6~9年)
  • 研究担当者:中西直人、三津本充、小沢忍、三橋忠由、後藤治、相川勝弘、村元隆行
  • 発表論文等:第91回日本畜産学会大会講演要旨 P29,1996.
                      第46回日本畜産学会関西支部大会講演要旨 P21,1996.