四国峡谷型中山間地域における農地荒廃の要因
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要約
四国峡谷型中山間地域における耕作放棄等の農地荒廃発生は、農家数増減率、農家人口増減率、自営農業従事者の内の基幹的農業従事者率の影響が強い。また、田の区画整備率は農地荒廃の抑止要因である。
- 担当:四国農業試験場・地域基盤研究部・地域防災研究室
- 連絡先:0877-62-0800
- 部会名:傾斜地農業
- 専門:農村整備
- 対象:農業工学
- 分類:行政
背景・ねらい
四国の峡谷型
中山間地域においては、近年の農業を巡る環境の厳しさから、耕作放棄地をはしめとした農地荒廃が著しく増大し、地域社会の維持や国土保全上の大きな問題と
なっている。しかし、この地域における農地荒廃の発生・抑止要因の解明については、定性的な報告や自治体、集落等の限定的な地域を対象とした調査・解析は
既になされているものの、地域全体を対象とした統計的な解析は十分行われていない。
そこで、本研究では特定農山村法で特定農山村地域に指定されている四国地域内の全農業集落を対象に、耕作放棄をはじめとした農地荒廃の発生・抑止要因を、1990年世界農林業センサス農業集落カードを用いて明らかにする。
成果の内容・特徴
- 相関分析、重相関分析において、農地荒廃の指標となる「経営耕地面積増減率(耕地計)」に対する影響の強い要因は、「農家数増減率」、「農家人口増減率」、及び「自営農業従事者の内の基幹的農業従事者率」である(表1)。なお、本結果は既往の定性的、もしくは地域限定的な要因解析に対し、四国の特定農山村地域全域を統計的に要因解析したことに特徴がある。
- 「経営耕地面積増減率(耕地計)」に対して、「田の区画整備率」が高い集落群と低い集落群の間に約4%の差があることから、「田の区画整備率」は農地荒廃の抑止要因である(図1、表2)。なお、農地荒廃と相関係数の高い「農家数増減率」と「農家人ロ増減率」において、相関から外れる集落に特徴的な傾向は見られない。
成果の活用面・留意点
- 中山間地域の地域活性化方策の策定時の参考となる。特に、中山間地域における基盤整備の地域活性化効果の検討時の参考となる。
具体的データ



その他
- 研究課題名:峡谷型中山間地域における耕作放棄抑制条件の解明
- 予算区分:一般別枠(中山間活性)
- 研究期間:平成6~8年度
- 研究担当者:吉迫宏、山下恒雄
- 発表論文等:吉迫宏・山下恒雄(1995):高知県嶺北地域における耕作放棄発生の要因解析、第50回農業土木学会大会中国四国支部講演会講演要旨、189~191
吉迫宏・山下恒雄(1996):四国中山間地域における農業的土地利用の後退要因の検討、平成8年度農業土木学会大会講演会講演要旨集、118~119