ヤーコンの結実性

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要約

ヤーコン舌状花にのみ結実し、管状花には結実しない。多くは自家不和合性であるが自家和合性系統も存在する。交配不和合性があり、形態の類似した系統間の交配では結実しない。

  • 担当:四国農業試験場・作物開発部・上席研究官
  • 連絡先:1877-62-0800
  • 部会名:水田・畑作
  • 専門:育種
  • 対象:いも類
  • 分類:研究

背景・ねらい

南米アンデス 原産のキク科作物ヤーコンは塊根に多量のフラクトオリゴ糖を含有し、機能性に富んだ根菜として日本での作物化が期待されている。未改良のため高い品種改良効果が期待されるが、文献では結実不能と報告され、現地でも交配育種は実施されていない。交配育種を効率的に進めるため、結実性を明らかにする。

成果の内容・特徴

  • ヤーコンの花は中心部に同心円状に存在する約100の管状花(両性花)とその外縁に同心円状に1列に着生する約14の舌状花(雌花)からなる。
  • 開花は舌状花と最外周の管状花から始まる。管状花の開花は中心部にむけ求心的に進行し、約1週間で開花を終了する。
  • 管状花は開花当日の朝(午前8時頃)開葯する。その後、雌ずいが筒状の葯中を越して伸長する。このため、授粉用の花粉は、開葯後雌ずいの葯中伸長までの午前8~9時に葯ごと採取する。開葯、雌ずいの伸長は気温、系統により遅速がある。
  • 大多数のキク科植物と異なり、管状花は結実しない(表1)が舌状花には結実する(表2、3)。
  • 多くの系統は自家不和合性であるが、SY106、SY107は自殖でも結実する(表2)。
  • 交配不和合性が存在するが、草形等の形態の異なる系統間の交配により交雑実生を獲得できる(表3)。
  • 舌状花の結実能力は花弁展開後3~4日間持続する。花粉は能力は低下するが開葯1日後も発芽力をもつ。低温貯蔵(5°C、保湿)により貯蔵1日後も開葯時と同程度の結実能力を保持できる(表4)。
  • 時刻に関係なく交配は可能である(表5)。

成果の活用面・留意点

  • ヤーコンは栄養系繁殖であり、雑種は育種素材としてすぐに利用できる。
  • 柱頭能力は開花後徐々に低下するので、開花2日後までに交配すると良い。

具体的データ

表1 管状花の結実性

表2 舌状花の自家和合性程度

表3 系統間交配による舌状花の結実率

表4 貯蔵による花粉の結実率

表5 授粉時刻と結実率

その他

  • 研究課題名:ヤーコンの高品質・多収系統の開発
  • 予算区分:新需要
  • 研究期間:平成8年度(平成3~9)
  • 研究担当者:中西建夫、杉浦誠
  • 発表論文等:ヤーコンの開花・結実性、熱帯農業39巻別号2(講要)、1995。