エゴマ脱脂粕に含まれるアラキドン酸リポキシゲナーゼ阻害成分
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要約
エゴマ脱脂粕抽出物にアラキドン酸リポキシゲナーゼの強い阻害作用を見いだし、活性成分を精製し、ルテオリン、ロスマリン酸メチルと同定した。ルテオリンは含有量も多く主要な阻害成分と考えられる。
- 担当:四国農業試験場・作物開発部・品質評価研究室
- 連絡先:0877-62-0800
- 部会名:食品
- 専門:食品加工
- 対象:
- 分類:研究
背景・ねらい
近年、食品の
持つ健康機能性に対する関心が高まり、その有効成分の解明が進められている。シソ科植物のエゴマ種子にはn-3系脂肪酸であるα-リノレン酸が多く含まれ
ており、健康機能性食用油脂として注目され用いられている。その残渣である脱脂粕を有効利用するために、アレルギーや動脈硬化などの原因のひとつとなって
いるアラキドン酸代謝産物に注目し、その代謝酵素を阻害する成分を調べた。
成果の内容・特徴
- エゴマ種子を常法により脱脂後、成分を溶媒分画したところ酢酸エチル層に血小板12-リポキシゲナーゼ阻害活性が認められた。ヘキサン層、水層には阻害活性は認められなかった(図1、2)。
- 酢酸エチル層から阻害活性を指標にHPLC等を用い有効成分を精製し、NMR、GC一MS等の成績よりルテオリン、ロスマリン酸メチル、ロスマリン酸、カフェー酸、クリソエリオールを同定した(名古屋市立大学との共同研究)。
- この中でもルテオリン、ロスマリン酸メチルの阻害活性が強く、ルテオリンは5一リポキシゲナーゼ、12一リポキシゲナーゼを濃度依存的に限害し50%阻害濃度(IC50)はそれぞれ103nM、20nMであった(図3)。ロスマリン酸メチルはルテオリンより阻害活性は弱く、IC50はそれぞれ646nM、406nM、であった(図4)。ルテオリンの阻害効果は今までに報告されている天然物の中では非常に強い部類であった。
- ルテオリンはエゴマ脱脂粕に約0.1%含まれ主要な阻害成分であると考えられる。
成果の活用面・留意点
- エゴマ脱脂粕の有効利用のひとつとして、アラキドン酸リポキシゲナーゼ阻害作用をいかした機能性食品等に利用できる。
- 摂取した際に生体においても有効であるか検討する必要がある。
具体的データ




その他
- 研究課題名:食物中の抗アレルギー成分の解明
- 予算区分:一般別枠(健康機能)
- 研究期間:平成8年度(平成5~10年度)
- 研究担当者:山本浩代、関谷敬三
- 発表論文等:エゴマ柏に含有されるフェノール性化合物のリポキシゲナーゼ活性障害、日本農芸化学学会誌、71、講演要旨集(1997)