紙マルチシート用簡易孔あけ機

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要約

紙マルチを野菜作に利用するため、個別農家が孔の数および間隔を選択して孔あけができる簡易孔あけ機を開発した。本機は紙をセットするだけで、間欠伝達歯車と同調する円筒刃により、間隔の異なる孔をあけることができる。

  • 担当:中国農業試験場・総合研究部・総合研究第1チーム
  • 連絡先:0849-23-4100
  • 部会名:作物生産(機械施設)、総合研究
  • 専門:機械、作業
  • 対象:野菜
  • 分類:指導

背景・ねらい

野菜・花き栽培では、現在ポリマルチが広く利用されているが、使用後の片づけの手間や焼却処理が問題となっている。近年、開発が進められている紙マルチは、古紙の有効利用、使用後のすき込みによる分解、高温期の地温抑制効果などの点から注目され今後の利用が期待されている。紙マルチを野菜作へ利用するには、数多くの作目や栽培様式に応じた条数や株間へ対応して、予め孔あけ処理を施す必要がある。このため、個別農家が任意に選択して孔あけ処理を施すことができる簡易な孔あけ機が必要とされている。

成果の内容・特徴

  • 開発した孔あけ機は等辺山形鋼の枠組みに孔あけと紙送り機構を組み込んだもので、パンチャーの孔あけ機構を応用し、鉄板の孔と円筒刃により紙を切断して孔あけを行う。円筒刃はホルダに装着し、その配置によって条数や条間を設定できる。孔あけ部の上下作用と紙送りは減速機を内蔵した電動モータによって駆動される。孔あけと紙送りの同調をとるため、間欠伝達歯車(ゼネバ)を介し円筒刃が上がっている間に、4枚の円板による摩擦駆動で紙を巻き取る。株間の設定は紙送り機構の末端のチェン駆動の変速比を変えて行う(図1、表1)。
  • 開発機による孔あけ失敗はないが、薄い再生紙(57.8g/m2)では未分離紙(円周の一部が切り離せない)が最大 3.6%生じたが、作物栽培に支障はない。設定株間に対する孔あけした平均株間は88~102%であり、厚い再生紙(120g/m2)ほどすべりが小さい(表2)。
  • 孔あけ作業は1人で行うことができ、機械へ紙をセットすれば監視のみで良い。1巻き(100m)当たりの孔あけ作業能率は、株間6、12、18cmでそれぞれ 1.2、0.6、0.4時間である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 幅135cmまでの紙マルチシートに対して、直径32mmの孔を1~6条、株間間隔6,12,18,24cmの範囲であけられる。円筒刃の交換により、対応を拡大できる。
  • ポリフィルムには利用できない。

具体的データ

図1.機体外観図 表1.簡易孔あけ機の主要諸元

 

表2.簡易孔あけ機の作業性能

 

その他

  • 研究課題名:野菜栽培における再生紙マルチ資材の適用
  • 予算区分:地域総合(中山間水田)
  • 研究期間:平成9年度(平成9~10年)
  • 研究担当者:土屋史紀、岡崎紘一郎、熊倉裕史、林 清忠
  • 発表論文等:再生紙マルチ用簡易孔あけ機の開発、農業機械学会関西支部第98回講演、1997.